第135期 数字で振り返る上海の5年 – 2019→2025、何がどう変わったか

更新日:2026.08.24

2020年6月、弊社コラム「第64期 数字で見る魔都・上海」では、上海の基礎情報を数字ベースでご紹介しました。あれから5年。街並みは大きく変わってないように見えても、数字の上では確かな進化を遂げていました。

今回は、2019年(前回コラムの基準年)と2025年の最新データを比較しながら、この5年間で上海がどのように変わったのかを振り返ります。

参考:第64期 数字で見る魔都・上海

引用元:包图网(https://plus.ibaotu.com/details/pki_10562277.html

数字で見る上海

地下鉄:世界最大のネットワークがさらに拡大

2019年度2025年度増加数
運営路線数16路線22路線+6路線
総延長676km962km+286km(+42%)
駅数413駅532駅+119駅(+29%)

この5年間で、路線数は6路線増加し、総延長は1.4倍に拡大しました。 主な新規開通路線としては、14号線、15号線、18号線、市域線・空港連絡線などが挙げられます。

現在の962kmの規模は東京の地下鉄(約304km)の3倍以上、ニューヨーク(約380km)の2.5倍に相当し、世界最大の地下鉄網です。それでもなお、将来の計画では1,642kmまで拡大する予定であり、まだ発展の余地を大きく残しています。

また、空港連絡線の開通により、浦東空港と虹橋空港間の移動時間が従来の90分から40分に短縮され、ビジネス・観光ともに利便性が大幅に向上しました。

人口:微増傾向が続く

2019年2025年増減
常住人口2,428.14万人2,485.41万人+約57万人
         戸籍常住人口1,450.43万人1,510.91万人+約60万人
         外来常住人口977.71万人974.50万人▲約3万人
上海在留日本人41,756人31,733人▲約1万人

この5年間で上海の常住人口は約57万人増加し、年間増加率は0.5%弱と緩やかな微増傾向が続いています。注目すべきは、中国の4直轄市(北京市・上海市・重慶市・天津市)の中で、前年比で人口増加を維持しているのは上海市だけという点です。

一方、外務省『海外在留邦人調査統計』によると、上海に居住する日本人は、約1万人減少しました。これは、コロナ禍による帰任の増加や、現地化の流れによる駐在員から中国人社員へのシフトなど、構造的要因が複合的に影響しているものと考えられます。

GDP:5兆元の大台を突破、円換算では約2倍に

2019年2025年増加率
GDP(元)3兆8,155億元5兆6,708億元+48.6%
前年比成長率5.9%5.4%
年平均為替レート15.8円/元21.2円/元

この5年間で上海のGDPは約1.5倍となり、5兆元の大台を突破しました。

5兆元超えを達成したのは上海市と北京市の2都市のみであり、改めてこの2都市が中国経済を牽引していることが分かります。

また、円換算で見ると、2019年(約60兆円)から2025年(約120兆円)にかけて2倍に拡大しており、為替の影響も含めると、日本本社へのインパクトはより大きいと言えるでしょう。

産業構造:サービス経済化がさらに進む

産業別GDP比率

産業2019年2025年変化
第一次産業(農業等)0.27%0.18%▲0.09pt
第二次産業(製造業等)26.99%20.5%▲6.49pt
第三次産業(サービス業)72.74%79.3%+6.56pt

この5年間で第三次産業(サービス業)の比率は80%近くにまで上昇しました。上海の経済が「モノづくり」から「サービス・知識集約型」へと大きくシフトしていることがこの数字から明確に読み取ることができます。

主要産業の付加価値額比較

(単位:億元)

産業2019年2025年5年間の伸び率
情報伝送・ソフトウェア・情報技術サービス業4,0947,140+74.4%
金融業6,6008,980+36.1%
工業9,67011,165+15.5%
卸売・小売業5,0236,509+29.6%
不動産3,3005,593+69.5%
交通運輸・郵便業1,6502,077+25.9%

この5年間で最も急成長をしたのは情報伝送・ソフトウェア・情報技術サービス業で、伸び率は74.4%に達し、全産業を圧倒しています。AI・クラウド・データセンター関連の需要拡大がその背景にあると思われます。

また、上海が「戦略的新興産業」と位置付ける以下の分野(集積回路<半導体>、バイオ医薬、人工知能<AI>、新エネルギー自動車、ハイエンド装備、航空宇宙、情報通信、新材料、新興デジタル産業)の2025年における付加価値額は1兆4,342億元に達し、上海のGDPの25.3%を占めるまでに成長しています。

市民生活の指標:所得も消費も向上、ただし「質」へのシフトが見られる

一人あたり可処分所得

年度金額前年比
2019年69,441元+8.2%
2025年96,842元+4.0%

この5年間で一人あたりの可処分所得は約27,400元(+39.5%)増加しました。

社会消費品小売総額

年度金額前年比
2019年1兆3,497億元+6.5%
2025年1兆6,601億元+3.5%

消費市場全体の規模も約23%拡大となりました。

ここで注目したいのは、所得の伸び(39.5%)に対し、消費額の伸び(+23%)は約9.5ポイント下回っていることです。これは、「モノ消費」から「コト消費」(体験型・情緒的価値への支出:エンタメ、旅行、自己啓発等)へのシフトや、コストパフォーマンスを重視する購買行動が消費者に浸透してきた現れだと感じています。

まとめ

この5年間、上海の街並みは一見するとそれほど変わっていないように見えるかもしれません。しかし、地下鉄・人口・GDP・産業構造・消費行動という複数の切り口で数字を追うと、確かな構造変化が浮かび上がってきます。

数字で現状を把握することは、ビジネスにおける戦略を立てる上で基本となる考えです。自身の業種や自社の数値と、今回ご紹介した上海のマクロデータを照らし合わせることで、新たな気づきやビジネスチャンスの発見になれば幸いです。

上海はまだまだ進化を続けています。今年から始まる第15次五カ年計画に向けた政策の方向性も気になるところです。「魔都」の異名に恥じない、魔力に満ちたこの都市の次の5年が今から楽しみでなりません。

参考文献

2025年上海市国民経済と社会発展統計公報(2026年3月30日上海市統計局・国家統計局上海調査総隊発表)
https://tjj.sh.gov.cn/tjgb/20260330/e0772941e8e041eaaad2df850b44ef98.html
2019年上海市国民経済と社会発展統計公報(2020年3月10日上海市統計局・国家統計局上海調査総隊発表)
http://www.tjcn.org/tjgb/09sh/36201.html
2025年上海市国民経済運行情況(2026年1月21日上海市統計局・国家統計局上海調査総隊発表)
https://tjj.sh.gov.cn/tjxw/20260120/d3f4918a77484c77bed173db6aaef33c.html
海外在留邦人数調査統計(2025年10月1日現在)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100957047.pdf
海外在留邦人数調査統計(2019年10月1日現在)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100436806.pdf

執筆者:利墨(上海)商务信息咨询有限公司 南 みなみ

※ 掲載しているブランド名やロゴは各社が所有する商標または登録商標です。
※ この情報の著作権は、執筆者にあります。
※ この情報の全部または一部の引用・転載・転送はご遠慮ください。

おすすめのコラムColumn

第131期 小さな都市で大きな産業を担う、世界を映す「鏡」—丹陽

コラムをみる

第116期 数字で見る中国の工業都市・重慶

コラムをみる

利墨サービスLimo Service

中国の
与信管理をサポート

貴社の中国企業との与信判断を徹底的にサポート。

詳細ページへ

低価格の
情報共有ツール

中小規模の中国現地日系企業をシステムの力で「組織力」を強化する!

詳細ページへ

「日本の学び」を
現地スタッフに

中国現地社員教育の課題をリスクモンスターチャイナが解決。

詳細ページへ


資料請求 セミナー一覧