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更新日:2023年11月30日
前回のコラムでは、中国市場に最初に足を踏み入れた日系企業にスポットを当てた。中国はその広大な国土を持つ特性上、ビジネスを拡大する際に各地に支店や支社、子会社を設立する必要が出てくる。これらの支店や支社、子会社を含む関連企業の数は、企業の活動レベルをある程度示す指標となる。今回は、中国での関連企業数の多い日系企業をランキングにした。
図表1に示すように、コンビニエンスストアの「ローソン」が関連企業数で1位となり720社と突出している。続いて、「ファミリーマート」が601社で2位、「すき家」(ゼンショー)が270社で4位、「サイゼリヤ」が262社で5位、「セブンイレブン」が243社で6位と、コンビニエンスストアや飲食店チェーン企業が上位に名を連ねている。また、中国では代表的な日系飲食店である「吉野家」と「CoCo壱番屋」は、それぞれ61社と51社でランキング外となった。
※チェーン店には、フランチャイズと直営店があり、ここで取り上げている関連企業数は、資本関係がないフランチャイズ店は含まれていない。
ファッション業界でも、日本ブランドが中国で人気を博し、日本のファッションが中国の若者たちに受け入れられている。衣料品ブランドの「ユニクロ」や「GU」「Theory」を展開する「ファーストリテイリング」は、その関連企業数の多さにより7位にランクインした。それに対して、「MUJI」を展開する「良品計画」は101社と13位となった。
乳酸菌飲料「ヤクルト」などの製造と販売に従事する「ヤクルト本社」は、関連企業数183社で8位にランクインした。「ヤクルト」は、中国でも各地のスーパーやコンビニエンスストア、街の小さな商店など至るところで販売されており、人気が高い飲みものである。特に華南エリアでは、店頭販売だけでなく、関連企業数にカウントされる家庭配送センターが多数設けられ、直接「ヤクルト」を消費者に配送している。
また、3位にランクインした「日産自動車」は中国の国有資本と共同出資で設立した「東風汽車」を経由して中国全土に広がっていることが推測される。さらに、エレベーターやエスカレーターのようなインフラ関連産業でも日本の技術力と信頼性が評価されており、「三菱電機」と「日立ビルシステム」が9位と10位にランクインしている。
図表1 関連企業が多い日系企業ランキング
順位 | 日系企業 | 中国関連 企業社数 | 業種 | 日系企業 売上高(百万円) |
1 | (株)ローソン | 720 | コンビニエンスストア | 357,571(23/02期) |
2 | (株)ファミリーマート | 601 | コンビニエンスストア | 375,481(22/02期) |
3 | 日産自動車(株) | 354 | 自動車製造業 | 3,240,618(23/03期) |
4 | (株)ゼンショーホールディングス | 270 | 飲食店 | 256,344(23/03期) |
5 | (株)サイゼリヤ | 262 | 飲食店 | 101,126(22/08期) |
6 | (株)セブン-イレブン・ジャパン | 243 | コンビニエンスストア | 863,025(22/02期) |
7 | (株)ファーストリテイリング | 229 | 織物・衣服・身の回り品小売業 | 283,165(22/08期) |
8 | (株)ヤクルト本社 | 183 | 処理牛乳・乳飲料製造業 | 176,787(23/03期) |
9 | 三菱電機(株) | 163 | 昇降設備・自動車部品製造業 | 2,712,165(23/03期) |
10 | (株)日立ビルシステム | 139 | 昇降設備製造業 | 256,168(22/03期) |
中国市場における日系企業の活動は、その広大な国土と多様な顧客ニーズに対応するため、各地に支店や支社、子会社を設立する形で展開されている。ただし、その活動状況は、業種や業態により異なっている。特に、小売業や飲食店チェーン、サービス業の業界では、多数の関連企業を持つ企業が見受けられる。
しかし、拠点の数が多ければ多いほど、各拠点の従業員の管理と教育やグループ内における情報共有などが難しくなる。また、全国各地域に分布する取引先の調査や情報収集も困難になる。多くの拠点を持ちつつ業績を伸ばしている企業では、高い管理レベルが求められる。
[実施概要]
・調査名称 : 中国における関連企業の多い日系企業調査
・調査方法 : 中国における日系企業の法人登記情報に基づく
・調査対象データ更新時期 : 2023年3月時点で開示されていた法人登記情報
・調査対象企業 : 中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業及びその傘下企業
・調査対象企業数 : 27,968社
利墨は、中国において、日中両言語のクラウド型のグループウェアやe-learningシステム、中国企業与信管理サービスを提供し、社内情報共有、社員教育と取引先管理を支援し、日系企業を管理面でサポートしております。中国での業務拡大をお考えの方は、是非ご利用検討ください。
※「中国日系企業データベース」とは、利墨が独自に収集した、中国全土で登記されている日本企業が出資している中国企業及びその傘下企業と日本の親会社情報を紐づけたデータベースのことを指す。