ここ数年、世界中で「健康志向」がブームとなり、喫煙率は低下傾向にあります。しかし、喫煙率が低下する一方で、世界のたばこ市場規模は約150兆円にまで拡大を続けています。このような状況の中で、世界最大のたばこ生産国である中国のたばこ事情についてお伝えしたいと思います。

中国のたばこ販売の歴史

中国にたばこが伝わったのはいつ?

 たばこ(たばこの元になる製品)が中国に伝わったのは、16世紀後半から17世紀中頃の明朝万暦年間です。その当時、姜絲草(ショウガの細切り草)や八角草(バイカクソウ)と呼ばれていました。また、パイプたばこは清時代に外国の大使館員や商人によって上海や北京に持ち込まれました。

中国で最初に販売されたたばこは?

1897年に、アメリカ人によって上海に現在の形式のたばこが持ち込まれ、1箱3文(現在価値で約100円)で販売されました。その後、「老刀」や「孔雀」といったたばこブランドが確立し、中国全土に広まりました。

たばこ専門企業はいつできたのか

1902年に、中外合資の「北洋煙草公司」が天津で開業しました。1905年には、日本華僑の簡照南が香港で南洋煙草公司を創立し、中国で初めて国産のたばこが製造されました。

【出典】
https://www.tobaccochina.com/html/news/ycwh/583685.shtml
https://www.cnxiangyan.com/zhishi/10177.html

中国のたばこの生産量と売り上げ

直近5年間の中国のたばこの生産量は以下の通り、2019年から2023年まで毎年少しずつ増加しています。また、売上も増加傾向にあります。

※中国のたばこ生産量は世界全体の35~40%を占めています。
※参考:2023年の日本たばこ産業(JT)の売上は約3兆160億円 2023年の中国のたばこ売上の円換算は約30兆4,340億円(1元=20円換算) 約30倍の規模

【出典】
https://www.163.com/dy/article/IPUR6S570552YGNW.html#:~:text
http://www.etmoc.com/look/Statslist?Id=41253
http://www.etmoc.com/look/Statslist?Id=42506
http://www.etmoc.com/look/Statslist?Id=44416
http://www.etmoc.com/look/Statslist?Id=46076
http://www.etmoc.com/look/Statslist?Id=46953

中国のたばこの販売価格と税率

販売価格

中国産のたばこの価格はブランドによって異なります。一般的な低価格帯のブランドでは、1パックあたり約5~15元(約100~300円)で購入できます。例えば、「中南海」というブランドは若年層に人気であり、1パックあたり15元程度で販売されています。より高級なブランドになると価格が上がり、例えば「玉渓」は100元(約2,000円)ほどします。

※参考

セブンスター1箱(日本):600円(2024年9月現在)
中南海1箱(中国):12~15元(約240~300円)(2024年9月現在)

【出典】http://www.etmoc.com/

税率

たばこ税率は11%で、さらに1本あたり0.005元の従量税が追加で徴収されています。この税率は2015年5月8日に5%から11%に引き上げられ、1994年に中国がタバコ製品に税率を課すようになって以来、4回目の調整です。

※参考
日本のたばこ税率は約61.7%

【出典】https://www.gov.cn/zhengce/2015-05/09/content_2859460.htm

中国のたばこの販売企業

 中国では、たばこの生産・販売は中国煙草総公司(英語名:China National Tobacco Corporation、略称:CNTC)がほぼ独占的に行っています。そのため、CNTC以外に独立した国内のたばこ企業は存在しません。CNTCの下には多くの地域的な子会社や工場があり、それぞれが異なるブランドや製品を製造しています。また、外国企業との合弁事業も行われていますが、これらはCNTCとのパートナーシップに基づいています。たとえば、日本たばこ産業(JT)やフィリップモリスなどが中国市場で共同事業を行うことはありますが、完全に独立した企業ではありません。

※外資も単独販売が難しい分、日本国内での日本たばこ産業(JT)よりも強力に独占している。

【出典】https://en.wikipedia.org/wiki/China_Tobacco

中国の喫煙率

 直近のデータがありませんが、「中国喫煙による健康危害報告2020」によると、中国の15歳以上の喫煙率は1984年の33.9%から2018年には26.6%に減少しました。そのうち、男性の喫煙率は61%から50.5%に、女性は7%から2.1%に減少しています。この結果から、中国の15歳以上の喫煙者(2018年時点)は約3億人であり、そのうち男性は約2億9600万人、女性は約1180万人となります。

【出典】https://www.chinanews.com.cn/gn/2021/05-26/9486252.shtml

執筆者:利墨(上海)商务信息咨询有限公司 倉田 瑞穂

※ 掲載の情報は、2024年9月時点のものです。
※ 掲載しているブランド名やロゴは各社が所有する商標または登録商標です。 
※ この情報の著作権は、執筆者にあります。 
※ この情報の全部または一部の引用・転載・転送はご遠慮ください。 

資料請求