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更新日:2024.03.26
日本では毎年3月中旬から下旬にかけて桜の開花が発表され、桜を愛でる時期になっているものだと思います。中国でも春の訪れとともに様々な美しい花々が咲き誇り、お花見が楽しまれています。今回は歴史的な背景や有名な花々を交え、中国のお花見文化の魅力をご紹介します。
日本語で「花見」といえば、桜の鑑賞について使われることが多いですが、中国語で「赏花 (shǎng huā)」と記載し、様々な花を観賞することを指します。
中国のお花見文化の歴史は古く、唐代(618年- 907年)にまでさかのぼります。唐代の文人たちは、花を楽しむだけでなく、美を詠んだ詩を詠み、お酒を楽しみました。これが茶花詩酒(chá huā shī jiǔ、チャホウシジュ)と呼ばれる中国の伝統的なお花見文化の礎となりました。
国花とは、その国を象徴・代表するお花で国民から広く愛されて親しまれているお花です。日本の国花は法律では定められていません。古くから日本になじみの深い「桜」と「菊」は国花としてもふさわしいのかもしれません。
中国も日本と同様、国花は法律では定められていません。それは多民族が暮らし、地域によっても生活スタイルが異なる点で、国花の候補となるお花が多く存在しており、その中から一つに選ぶことができない背景もあるようです。
中国には十大名花と言われるお花があります。十大名花はその美しさや文化的な意味から選ばれた花々で、歴史的な背景や詩文にも頻繁に登場します。その中から一部をご紹介します。
・梅花 (méi huā) – ウメ
冬に咲く花であり、寒さにも負けずに清雅で高潔なイメージがあります。梅の花は忠実、忍耐、不屈の精神などを象徴し、詩や絵画によく描かれています。
・蘭花 (lán huā) – ラン
蘭は高貴で気品があり、清新で上品な香りが特徴です。その美しさから、蘭は高雅で洗練された品格を表す象徴とされています。
・蓮花 (lián huā) – ハス
汚れなき美しさと清らかさを象徴するハスの花は、仏教、儒教、道教のシンボルとしても広く知られています。泥水に咲くことから、逆境にも負けない強さを表現します。
・牡丹花 (mǔ dān huā) – ボタン
中国の代表的なお花であり、豪華で華やかな花姿が特徴です。富と繁栄を象徴し、皇帝や高貴な身分を表す花とされています。
・杜鵑花 (dù juān huā) – シャクナゲ
杜鵑花は、中国の山野に咲く花であり、清純な美しさを表現します。孤独や寂寞を象徴し、文学や詩においてしばしば登場します。
実は、その他にも5種類ありますが、そこには桜は入っていません。
中国では古代から桜は観賞用ではなく、食用価値を重視してきた背景があり、観賞用としては1970年代以降の日中国交正常化以降に日本から輸入された桜も多く存在しています。
桜を中心とする中国国内でのお花見ブームは、日本への中国人観光客増加に比例しており、日本の桜がSNSなどで拡散され、多くの人々の注目を集めることでさらに加速していきました。 一部の都市では、桜祭りや花まつりなどのイベントも開催されており、花見を楽しむ機会が提供されています。
玉渊潭公園(yù yuān tán gōng yuán)
所在地:北京市海淀區西三環北路107号
春になると、公園一面に広がる桜並木が美しい風景を作り出します。湖畔に咲く桜は特に幻想的で、花見の名所として親しまれています。
陶然亭公園(táo rán tíng gōng yuán)
所在地:北京市西城区太平街19号
都心に位置するこの公園は、美しい湖と桜並木が特徴。春の季節になると、多くの人々が花見やピクニックを楽しむ姿が見られます。
顧村公園(gù cūn gōng yuán)
所在地:上海市宝山区沪太路4788号
3月11日から4月15日までの期間、上海桜まつりが開催されています。
桜の品種も110種類から120種類まで増やすことで、桜の開花をなんと約60日間にわたって楽しむことができるようになっています。
世紀公園(shì jì gōng yuán)
所在地:上海市浦东新区錦綉路1001号
市内屈指の大型公園で、湖を囲むように広い芝生エリアがあります。梅や桜などの植物園、釣り堀、遊園地などがあり、週末班多くのファミリーやカップルでにぎわいを見せます。「樱花岛(yīng huā dǎo)」には桜の木が約1000株植えられ、池に面しておりゆったりしながら楽しめるお花見スポットです。
中国のお花見文化はいかがでしたでしょうか。
中国の北京、上海の桜の名所を今回取り上げましたが、他にも多くのエリアでお花見ができるスポットが数多くあります。
ぜひ3月から4月にかけて中国に来られるときは、足を運んでみてください。
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【参考文献】
鄭 偉. 中国における花見ブームについての文化的考察. 人文・自然・人間科学研究 / 拓殖大学人文科学研究所編集委員会 編. (45):2021.3,p.1-24.
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