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更新日:2016.08.29
中国に初めて来ると、「インターネットが遅い」「FacebookやLINEに繋がらない」と感じられる方が多いと思います。今回は、中国のインターネット・アクセス問題3つを紹介します。
中国のインターネット回線が遅いのではなく、日本と中国を結ぶ回線(海底ケーブル)が古く細いため、遅いのです。現在、私の自宅では、中国電信の20MBの通信回線を契約しておりますが、実際の通信速度は、中国国内が12~13Mbps、日本へは約0.5Mbpsです。特に、毎日夕方以降になると、アクセスユーザーが増加するため、一層遅くなります。
日中間の回線である海底ケーブルは、かなり以前に敷設された回線のため、技術も古く、スマートフォンを使い、動画コンテンツを見るといった現在のようなインターネットの利用方法に耐えることができません。
また、年に1度程度、海底ケーブルやキャリア側の故障により、著しく遅くなる期間があります。昨年6月~9月頃は、中国電信を使い、日本へアクセスすると、たった20Kbpsしかない期間がありました。その他、政治的イベントが有る場合や、長期連休前後は更に遅くなることが多いですが、これは人為的な影響もあるようで、詳細な原因は公開されておりません。
中国のインターネット検閲システムは、金盾(グレートファイヤーウォール)と呼ばれ、様々なWebサイトが監視、ブロックされています。グレートファイヤーウォールとは、万里の長城(Great Wall)を語源としているようで、2003年頃から稼働しております。
閲覧できないサイトは、Facebook、Twitter、YouTube、LINEなど中国当局が制御できない情報伝達のサイトです。また、当局にとって、都合の悪い記事が書かれているニュースサイトや団体のサイトも該当します。
greatfire.orgという「金盾」の調査団体によると、アクセス数が世界TOP1000のWebサイトのうち、約15%が中国でブロックされているようです(16/8/10現在)。
検閲の仕組みとしては、①ブラックリスト、②NGワードから構成されております。
① ブラックリストは、閲覧させたくないサイトのドメインやIPアドレスを単純に規制しています。ドメインの場合は、DNSと言われるドメインとIPアドレスを紐づけた電話帳のようなシステムを改竄し、インターネット利用者がそのドメイン内のサーバへ到達できないよう妨害しております。
② NGワードとは、中国当局にとって、都合の悪い単語をフィルタリングし、サイト閲覧時にブロックします。
SNSの微博Weiboや微信WeChatでも個人が発信した内容が数分後に削除されていることが多々ありますが、金盾のシステムだけではなく、サイバーポリスである監視員による削除が多いようです。
この金盾(グレートファイヤーウォール)は、日中間のアクセス遅延の一因になっていますが、主要因ではありません。
中国の2大通信キャリアである中国電信(China Telecom)と中国聯通(China Unicom)のネットワークの相互接続性が悪いことから、該当Webサイトのキャリアとユーザーのキャリアが異なる場合、接続が遅くなる場合があります。
「南北」問題と言われる由来は、過去、中国電信の管轄が中国の南側、中国聯通が北側だったためです。現在は2社共に中国全土でサービスを提供しています。
キャリアの設備増強により、徐々にこの問題は解消されつつあるようですが、一部Webサイトでは両キャリア用のサーバを用意し、ユーザーのキャリアに応じて、アクセスしやすい環境を作っているようです。
以上
※ 参考サイト:greatfire.org
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