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更新日:2016.12.29
2017年中国で流行になりそうなのが、個人の信用力を点数化した「芝麻信用(zhima credit)」です。「芝麻信用」は電子マネーAlipay(アリペイ)を運営するアリババ金融子会社「蚂蟻金服(Antgroup)」が設立した独立機構です。ビッグデータを使い個人の信用力を数値化し、評価点数が高い人には、ローンの金利優遇やホテルのデポジット不要など様々な生活サービスでメリットが享受されます。日本ではあまり認知はありませんが、米国では個人の信用スコア「FICO(ファイコ)」があり、人々の社会生活インフラになっています。
現在中国政府は個人信用力の体系化を強化しており、2015年1月に中国人民銀行が認可した8社のうちの1社が「芝麻信用」です。芝麻信用の点数は350点~950点まであり、550点以下は悪く、一般は600~700点、700点を超えるユーザーは希少であり高信用力者です。なお、当社社員の中にも800点を超える強者がおります。
点数の評価ロジックは公開されておりませんが、「信用歴史」「購買・行動環境」「履行能力」「個人特性」「人脈関係」の5つから構成されています。「信用歴史」はクレジットカードや金融機関からの返済記録であり、遅延の無い返済実績が高評価につながります。「購買・行動環境」はショッピングや金融商品の購入や水電気ガス等の公共機関への支払が安定しているかが影響されます。また、「履行能力」は個人資産、「個人特性」は出身大学や勤務先、「人脈関係」は信用が高い人との交流などが関係しています。
アメリカのFICOスコアの場合は、300~850点まであり、平均は680点前後、点数が一定以上超えると住宅ローンなどで有利な金利で借りられるようになります。また就職の採用時に照会されることも有り、点数が低くて内定取り消しになる場合もあり、個人が生活する上で非常に重要な評価点数となっております。
評価の元となるのは、エキファックス(Equifax)、エクスペリアン(Experian)、トランスユニオン(TransUnion)という3つの信用情報機関からの情報を元に返済履歴や借入残高、信用履歴の長さ等の情報です。
日本は、こうした個人の信用評価点数はありませんが、クレジットカード系のCIC((株)シー・アイ・シー) 、消費者金融系のJICC(日本信用情報機構) 、銀行系の全国銀行個人信用情報センター(全銀協) の3つの個人信用情報機関があり、それぞれから情報を取得し、各金融機関が独自にスコアや基準を作り、審査しています。
中国の「芝麻信用」は、返済履歴や履行能力という点では、FICOと同じ評価基準ですが、アリババグループやAlipayが背景にあるため、ネット上のビッグデータがスコアに反映されている点が異なります。また、自分の評価点数はAlipay等のアプリ上で簡単に見れます。更に「人脈関係」が評価に含まれており、LinkdInなどのビジネス交流サイトの登録内容により評価が異なるのは興味深いです。
点数が高い個人は、一般的には以下のような場合でメリットがあります。
また、飲食チェーン店等で雨傘レンタルや携帯充電が無料で利用できるサービスや、シンガポールへのビザ手続きが簡略化され、スムーズに取得可能(700点以上)になったりと、アメリカなどの他国では無いようなメリットもあります。
昨年話題になったのは、Alipayの交流サイトにおいて、女子大生と芝麻信用750点以上ユーザー(大半が男性)のみが交流できるサービスを始めたところ、女性が売春目的で悪用し、サイトが炎上し、すぐにサービス中止になりました。
2016年は、アリババグループが運営するサービスを中心にこの「芝麻信用」が普及しましたが、今後はアリババと関係の無いサービス事業者や金融機関にも普及していくものと思われます。
「芝麻信用」の審査を受けたサービス提供企業や金融機関は、APIを使いシステム連携すれば、1回2元を支払いさえすれば、ユーザーの評価点数を知ることができます。そのサービス上で、高信用得点者にメリットを与えるが簡単に実施できます。
また、光大銀行等、一部の地方銀行では個人のローンの審査基準に使用開始し、徐々に一般金融機関にも普及していく可能性があり、更に「芝麻信用」が企業の信用評価点数も試行的に公開するなど当社にとっても、今後の動向に非常に注目しています。
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