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更新日:2018.03.29
今回は中国の自動車について紹介します。自動車に関連する話題としては中国とアメリカの貿易摩擦問題や自動運転技術【中国でも大手自動車メーカーや騰訊(テンセント)、阿里巴巴(アリババ)、百度(バイドゥ)の大手IT企業などが研究開発・実証実験などを進めています。】など取り上げたいテーマは多くありますが、今回は電気自動車(EV)にまつわる中国での状況をご紹介いたします。
中国の自動車販売はすでに世界一の市場です。2017年の年間新車販売台数は2887.9万台にのぼり、(中国汽車工業協会の発表による)これは日本・アメリカ・ドイツ3カ国分に相当する市場規模になっています。
しかも、よく知られているところですが、中国の都市部においては自動車のナンバープレートの取得に毎月の抽選制で取得まで平均2年以上かかる、ナンバープレートの落札価格が日本円で150万円以上になる、などの日本では考えられないほどの強い制限を設けています。
中国では自動車保有がステータスであり、結婚する際に家と車を購入。というのが、まだまだ一般的な価値観になっています。また長らく続いた一人っ子政策が終わり、世帯人数も増えてゆきますので、今後も都市部・地方での自動車販売が増えていくとされています。
一方、こちらもよく知られたところですが中国では大気汚染が深刻で、増え続ける自動車に対して、大気汚染問題への対処も必要になります。中国政府が2015年に発表した「中国製造2025(メイドインチャイナ2025)」。これには中国が製造大国から製造強国に発展していくためのロードマップが示されていますが、そのなかで10つの重点項目のうちの1つに省エネルギー車、新エネルギー車をあげています。これは環境面(大気汚染対策)、エネルギー確保(原油の輸入増)への配慮のみならず、世界最大の自動車販売市場をもつ中国が、自動車生産でも自国(中国の自動車メーカー)が有利に闘える土俵に変えてこうという意図もあるとされています。(従来のガソリンエンジン駆動車は日本、韓国、欧州の自動車メーカーが研究開発や生産技術で先行しているため。)
中国では電気自動車、あるいはプラグインハイブリッド自動車(PHV)を含めた新エネルギー車を街中で多く見かけます。アメリカのテスラも走っている姿を見かける頻度が日本より断然多いです。中国国内メーカーの電気自動車も数多く走っています。
自動車に詳しくない私でも、ひとめ見て電気自動車と判明できます。それには理由があります。
写真のように、上海では通常の自動車ナンバープレートは青面に白文字ですが、エコカーはナンバープレートが緑になっていて、ナンバープレートの色ですぐに判別できます。
左は中国メーカーの車です。右はドイツのBMWのプラグインハイブリッド車です。どちらも弊社が入居するビルの駐車場に停まっていた車です。緑色ナンバーの車はどこでも頻繁に見かけることができます。
中国国内の電気自動車メーカーを紹介します。
中国での新エネルギー車(EVとPHV)のトップシェア(30%)を持つ深センに本拠を構える自動車メーカーです。
香港証券取引所に上場しており、有名な投資家のウォーレン・バフェット氏もこの会社に投資しています。
中国政府はこうした中国電気自動車メーカーに補助金を支出する形で後押ししています。(もっとも近年は補助金額が減額されてきています。)
中国の消費者がエコカーを買う際の動機を考察してみます。
日本では当初ハイブリッドカーが出た際は、その経済性(車の燃費性能)の良さを売りにしていました。またアメリカでは以前、セレブやハリウッドスターがトヨタのプリウスに乗っていると話題になりましたが、彼らは自分たちが環境問題に高い関心を持っていて、またそれを表現することがかっこいい。というものでした。
中国で、電気自動車を購入する主たる動機は上記とは異なります。EVのナンバープレートは、抽選による交付制限がありませんので、2年も待つ必要がありません。また、落札することもないのでナンバープレートに高額な金額を払う必要もなく取得できます。
中国の都市部では、今すぐ自動車に乗りたい人がエコカーを選択します。
中国では市民の生活の足となる二輪車は、実に9割以上が電動型のバイクです。最近では、公共バスも電気自動車が増えています。
写真は上部の架線から給電するタイプのバスです。プラグインで充電するバスも走っています。
市民が生活する中で電動の乗り物が、排気ガスもなくエンジンの振動や騒音も無いことを皆良く知っていますので、今後増えていく電動の四輪乗用車についても抵抗無く受入れられるのでしょう。
中国ではシェアリングエコノミーが全盛ですが、EVカーについても、もちろんシェアサービスがあります。この会社のサービス体系はシンプルに2種類あって分単位での利用と日単位での利用ができます。スマートフォンで利用できるものです。
上海を中心にサービスを展開しており、全国に累計登録ユーザーが90万人いて、上海だけで4千ヶ所の充電ステーションがあるとホームページに記載があります。
上海は世界一のスターバックスの店舗数を誇る都市ですが、その数が530店。EVステーションは4千強ですから、スタバでコーヒーを飲むよりも簡単にEVカーを借りることができるといえます。
実例を紹介します、左の写真が弊社の入居するビルの駐車場にあるEVCARDサービスの専用駐車スペースと充電ステーションです。車は出払っていました。右が弊社入居ビルに隣接するホテルの駐車場にあるEVCARDサービスの提供状況です。
中国にお越しの際は、ぜひ自動車のナンバープレートの色にも注目してください。
以上
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