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更新日:2019.12.29
新型コロナウイルスの影響で注目を浴びることになった「武漢」ですが、皆さんはどんな都市なのか知っていますか?今回のニュースで初めて知ったという方も多いのではないでしょうか。
いろんな情報が出回っておりますが、まずは基本的な情報を知っていただきたいと思い、今回ご紹介していきたいと思います。
3つの中心都市の頭文字をとって「武漢」という名前になっております。
参考:高德地图データをもとに利墨が修正
長江の中流に位置し、北京から広州の南北、上海から成都の東西を結ぶ高速鉄道の中心に武漢市はあります。交通の要所として古くから発展し、水路、高速道路、高速鉄道、空路などのインフラ整備が急速に進んでいます。各主要都市まで飛行機では2時間で移動が可能で、高速鉄道でも3~8時間前後で移動ができるため、交通の中心として移動に適している場所です。
なお、武漢市の面積は8,569㎢で、兵庫県(8,400㎢)や広島県(8,479㎢)の面積と近いです。
都市 | 鉄道距離 | 高速鉄道最短移動時間 | フライト時間 |
---|---|---|---|
北京 | 1,200㎞ | 4時間19分(時速300㎞) | 約2時間 |
上海 | 840㎞ | 4時間9分(時速200~300㎞) | 約1時間30分 |
広州 | 1,069㎞ | 3時間43分(時速300㎞) | 約1時間40分 |
重慶 | 912㎞ | 6時間11分(時速200~250㎞) | 約1時間30分 |
成都 | 1,370㎞ | 8時間29分(時速200~250㎞) | 約2時間 |
武漢市は「四大火炉(四大かまど・ボイラー)」の一つと呼ばれていて、夏季の気候が高温多湿である都市、火を焚いたかまどのような暑さになる4大都市を指します。武漢のほかには、重慶、南京、長沙(もしくは南昌)と昔から言われていました。しかし、気象統計に基づいたものではなく、2017年に発表された猛暑都市ランキングでは武漢と南京はトップ4から外れて、福州、杭州がランクインしていました。武漢市は長江と漢水が交わり、166の湖があり、水域面積は市域面積の26%より広く、1人あたり淡水量は全国平均の35倍に達します。長年の生態保護と取り組みにより、夏の気温は年々低下しているようです。
参照:「中国網日本語版(チャイナネット)」中国の暑い都市 武漢市が「3大かまど」から外れる
中国都市別人口でトップ10にはいる都市で、2018年度集計時点では人口1,108万人(前年比成長率1.7%)で、日本の都道府県人口2位の神奈川県917万人と3位大阪881万人よりも多いです。
80校以上の大学 (短大を含む)が設置されており、中国で最も大学が多い都市の一つとなっています。国家重点大学の武漢大学や華中科技大学をはじめ、華中師範大学、武漢理工大学などの有名大学があり、特に理系の学科が有名なのも特徴で、優秀な若者が多い街であり、その学生数は約120万人に上り、さいたま市の人口に匹敵します。
武漢が人材集積地の1つとなった背景には、清朝末期に、武漢(漢口)が天津、上海、広州と並び、内陸で唯一租界として開放され、「洋務運動」(列強の技術導入による国力増強)の一環で、大学の拠点づくりが開始されたことが影響しています。
日本では、桜は春に花見をするほど日本人にとってなじみ深いものですが、実は武漢市でも見ることができます。武漢大学で約200メートルの桜並木に1,000本以上の桜が植えられており、花見の季節になると、最高1日20万人が訪れ入場制限が行われるほど、中国では有名な名所です。最近では混雑緩和のため予約制になったり、顔認証のゲートができたりしているようです。
武漢大学の桜並木は1930年代に武漢を占領した旧日本軍が植えたのが始まりで、今の桜は1972年に日中国交正常化を記念して贈られたものやその後の日本の民間団体などから贈られたものも多くあります。
今年は難しいかもしれませんが、武漢に行った際には「中国のお花見」を体験してみるのも良いのではないでしょうか。
参照:「新華網」武漢大学で満開の桜が観光客を魅了武漢大学で満開の桜が観光客を魅了
武漢市の2018年度GDP成長率は前年比8.0%の1兆4,847.29億元で、中国全体の6.6%を1.4ポイント上回っています。1人当たり2018年GDPは13万5,136元となり、沿岸部(上海、北京、天津等)と肩を並べる規模へ成長をしております。
2020年1月7日に開催された「武漢市十四届人大五次会議」で武漢市長が2019年GDP成長率は7.8%前後の見込みとして発表されており、依然として高い成長率を維持しております。
現在産業別に見ると、「第三次産業」のGDPに占める割合が54.6%で武漢市最大の産業となっています。社会消費品小売総額は毎年10%を超えるペースで成長を遂げ、現在では中国の中で上位消費地域となっています。現在、主要道路、地下鉄、橋などのインフラ工事が多く進められており、外資系スーパーマーケット(日本のイオン含む)、日系コンビニチェーンなどのサービス業関連企業が続々と進出しています。
2016年10月26日に発表された「武漢市現代サービス業発展“十三五”計画」においては、2020年までに「規模倍増:サービス業の付加価値総額を1兆元以上にし、サービス業のGDP比55%を目標」や、「貢献増強:サービス業の就業者数を就労人口55%にして、新たなサービス業をリードしていく企業を創り、世界的に影響力のある産業イノベーションセンターを創る」など、具体的な数値目標を設定することで、武漢市サービス業のさらなる発展を図っています。
「自動車製造業」は武漢市の主力産業で、湖北省の全体工業生産額の2割を占めており2017年の付加価値総額は3,000億元と突破しております。武漢市に所属している企業を見ると、地場、外資系含め500社を超える自動車関連サプライヤーが集まっています。また日本企業では157社(武漢商工クラブ会員企業数※2020年1月現在)が武漢市に進出していますが、そのうちおよそ半数がホンダや日産自動車、デンソーなどの自動車関連メーカーであることからも、「自動車製造業」が盛んであることがわかります。
近年では産業構造に少しずつ変化が出てきております。2018年度工業付加価値総額の伸び率をみると、「自動車製造業」が前年比1.1%減となったのに対して、「コンピュータ・通信・電子機器製造業」前年比12.5%増、「医薬品製造業」前年比9.4%増、「電気機械・設備製造業」前年比7.4%増などのハイテク産業が堅調に推移しており、新産業へ少しずつ転換されていることがわかります。投資の面でも、新エネルギー自動車産業の投資は前年比3.6倍、ハイテク技術製造業は56.5%増となり、工業技術改革にかかる投資増えておりますので、中国としても経済発展には欠かせない都市になっていきているのではないでしょうか。
【武漢市基礎情報】 | 2018年度 | 前年比 |
---|---|---|
面積 | 8,569㎢ | ー |
人口 | 1,108万人 | 1.7%↑ |
GDP | 1兆4,847.29億元 | 8%↑ |
第一次産業 | 2.4% | 0.6ポイント↓ |
第二次産業 | 43.0% | 0.7ポイント↓ |
第三次産業 | 54.6% | 1.35ポイント↑ |
一人当たりGDP | 13万5,136元 | 8.5%↑ |
一人当たり可処分所得 | 4万2,133元 | 9%↑ |
社会消費品小売総額 | 6,843億9,000万元 | 10.5%↑ |
「武漢」が中国の中でも成長している大都市であるということをご理解いただけたと思います。これだけ発達した都市ですので、新型コロナウイルスが経済にどこまで影響するのか、取引先にどこまで影響がでるかは、不透明感がまだまだ続くと思います。
緊急事態の時こそ、最悪の事態を想定し、リスク対策を取りながら行動をしていくことをお勧めいたします。弊社としても、行動理念で掲げている「備えよ、常に」を意識し、取り組んでまいります。
※ 統計データは「湖北省統計局」「ジェトロHP」を参照しております。
以上
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