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更新日:2015.09.29
上海株、中国株の暴落に関して、この数か月話題になっておりますが、今回は中国の上場会社や株式市場についてご紹介します。
現在、中国本土の株式市場は上海と深センの2箇所あり、いずれも1991年頃に開業しています。上海は大企業、深センは中小・ベンチャー企業という特徴があり、更に深セン市場は金融や重工業が中心の「メインボード」、規模の小さい企業を対象とする「中小企業板」、ベンチャーを中心とした中国版NASDAQ「創業版」の3種類があります。
なお、日本の各証券取引所と異なり1社が2つの取引所で上場させることができません。
証券取引所 | 分類 | 上場会社数 | 時価総額総合 |
---|---|---|---|
上海 | 1,072 | 252,754億元(約500兆円) | |
深セン | メインボード | 478 | 59,640億元(約120兆円) |
中小企業版 | 767 | 70,560億元(約140兆円) | |
創業版 | 484 | 33,722億元(約67兆円) | |
深セン計 | 1,729 | 163,922億元(約327兆円) | |
上海・深セン計 | 2,801 | 416,676億元(約827兆円) |
(2015年9月7日時点)
上記の上海市場と深セン・メインボードには外国人規制があるA株(人民元建て)、外国人向けの外貨建てB株(上海は米ドル、深センは香港ドル)の2種があります。
証券取引所 | A株 | B株 |
---|---|---|
上海 | 1,062社 | 53社 |
深セン(メインボード) | 467社 | 50社 |
合計 | 1,529社 | 103社 |
(2015年9月7日時点)
B株の会社数はわずかであり、A株は1,529社に対して、B株は103社しかありません。また、B株に上場している企業の多くはA株にも上場しております。企業にとっては、A株市場以外に外貨建てのB株から別の資金を調達手段として利用されております。
この特異な外国人規制を設けた背景には、政府が人民元レートの安定を保ちたいという意向があったためですが、2014年11月より香港証券取引所経由で上海や深セン市場のA株を外国人である日本人でも取引可能になりました。なお、1日あたり最大130億元(約2,600億円)、総額3,000億元(約6兆円)の限度額が設定されています。
<推移>
上海市場と深セン市場を合わせて、20年までは300社程度しかなかった上場会社がこの20年で2600社まで増加しております。ですが、まだ日本と比較すると1000社弱少ないことが分かります。
証券取引所 | 1995 | 2000 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
上海証券取引所 | 188 | 572 | 894 | 931 | 954 | 953 | 995 |
深セン証券取引所 | 135 | 516 | 1,169 | 1,411 | 1,540 | 1,536 | 1,618 |
中国計 | 323 | 1,088 | 2,063 | 2,342 | 2,494 | 2,489 | 2,613 |
香港証券取引所 | 542 | 790 | 1,413 | 1,496 | 1,547 | 1,643 | 1,752 |
中国(広義)計 | 865 | 1,878 | 3,476 | 3,838 | 4,041 | 4,132 | 4,365 |
東京証券取引所 ※ | 1,791 | 2,096 | 2,293 | 2,291 | 2,304 | 3,419 | 3,470 |
大阪証券取引所 | 1,222 | 1,310 | 1,273 | 1,229 | 1,177 | ― | ― |
日本計 | 3,013 | 3,406 | 3,566 | 3,520 | 3,481 | 3,419 | 3,470 |
※ WFE(World Federation of Exchanges)データより作成、一部不足している中国データは国家統計局より取得、単位は社数
※ 東証は2013年データから大証統合を反映
<業種別>
上海市場の上場会社数を東証1部と比較しました。母数に対して、製造業や不動産業、運輸業の比率が高く、情報通信は上海市場では非常に少ないようです。
業種 | 上海 | 東証1部 |
---|---|---|
製造業 | 597 | 715 |
卸売業、小売業 | 93 | 280 |
不動産業 | 77 | 44 |
運輸業、倉庫業、郵便業 | 66 | 56 |
電気業、熱供給業、ガス業、水道業 | 57 | 71 |
鉱業/石油 | 47 | 13 |
金融業 | 35 | 99 |
建設業 | 35 | 94 |
情報通信業 | 28 | 117 |
その他 | 80 | 390 |
計 | 1,115 | 1,888 |
※ 上海証券取引所、リスクモンスターよりデータ取得
時価総額で国際比較してみると上海市場が2015年7月時点では世界第4位となっておりますが、2015年4月頃から6月頃までは東京市場を抜いて世界3位になっております。上海と深センを合わせるとナスダックを超えた、NY証券取引所の次の世界第2位の市場となっております。
順位 | 証券取引所 | 時価総額 (百万USドル) |
---|---|---|
1 | ニューヨーク | 19,351,558 |
2 | ナスダック | 7,473,480 |
3 | 東京 | 4,985,107 |
4 | 上海 | 4,839,153 |
5 | ユーロネクスト | 3,549,142 |
6 | 深セン | 3,303,912 |
7 | 香港 | 3,445,761 |
(2015年7月時点)
※ WFEデータより作成
上記グラフはニューヨーク市場を除いた直近20年と今年半年での時価総額のトレンドですが、上海・深セン市場ともに今年に入って異常な伸びだったことが分かります。また現在も暴落と言われておりますが、現時点では1年前の時価総額に戻った程度の水準です。
なお、中国の上場企業は各証券取引所のHPより決算書データの取得が可能です。また利墨上海では上場企業に限らず、中国国内(香港、台湾除く)の登記されている企業1,000万社以上の決算書を信用調査にて取得することが可能ですのでご興味あれば当社HPをご覧ください。
以上
執筆者: 利墨(上海)商務信息咨詢有限公司 副総経理 有井次郎
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