第64期 数字で見る魔都・上海

更新日:2020.06.29

中国、世界的にも大きな経済都市・上海について、皆様はどれだけご存知でしょうか。人口は?GDPは?日本と比べるとどれぐらい?など、数値で見たときに、どのような位置づけの都市なのか、把握できていない方も、意外と多いのではないでしょうか。

そこで改めてですが、数字面での基本情報を知っていただくことで、より上海について理解を深めていただきたく、今回ご紹介していきたいと思います。

上海の基礎情報

中国では、中央政府が直接管理している都市、「直轄市」が4つ(北京、上海、天津、重慶)あります。上海はそのうちの1つで、面積が最も小さい都市です。

上海は、別名「魔都」と呼び名がありますが、1924年に出版された「魔都」の日本作家「村松梢風」が最初にそう呼び、現在に至るまで言われ続けているようです。

立地: 東京都の約3倍の面積!?

立地・面積

上海市は面積6,340.5㎢の都市で、日本の都道府県と比較をすると、東京都(2,194.07㎢)の約2.9倍の面積であり、大分県(6,340.76㎢)と同じぐらいの大きさです。

上海市は16の行政区に区分されており、利墨のオフィスは浦西に位置している「長寧区」にあります。また、中心地の地区では、蘇州河(呉淞江)と黄浦江を境に3つの部分でも、呼び方が分けられています。(東:浦東、西:浦西、北:滬北)

地下鉄

上海の地下鉄は、現在16路線(1~4、7~13、16、17号線+浦江線)413駅(676㎞)で運行されています。地下鉄の路線延長は、世界的に見てもトップと言われており、東京都の地下鉄(東京メトロ・都営地下鉄)13路線286駅(304km)と比べても、約2.2倍の距離が張り巡らされています。現在も新路線の拡張工事は進んでおり、2020年には路線延長は704kmとなる計画が進められています。

画像1

参照:上海市 – Wikipedia

人口:日本人が世界で4番目に多い都市!

上海市の2019年度の人口は2,428万人で、中国の中では重慶市に次いで2番目に人口が多い都市で、日本で一番多い都市・東京都(1,383万人)の約1.7倍あります。人口増加はあまりなく、前年と比べほとんど変化がありません。(前年比100.2%)上海市の2019年度の人口密度は3,829人/㎢で、東京都(6,306人/㎢)の約6割程度で、神奈川県(3,816人/km2)と同等です。

外務省の集計結果が開示されている2018年度では、上海市にいる日本人の在留人数は40,747人であり、全世界で4番目に日本人が多い都市です。在留人数は前年比▲6.2%と近年減少傾向ですが、進出日系企業拠点数は23,441社進出し、全世界の中で1番日系企業の拠点が多い都市と集計されており、まだまだ日本とつながりが強い都市であると言えます。

上海の経済

中国GDPは現在世界2位で、日本が3位に順位が入れ替わったのは、2010年と約10年前ではありますが、都市で比較をするとどのような結果が出るかご存知でしょうか?

GDP:東京都の半分?!

上海市の2019年度GDPは、3兆8,155億元(日本円換算:約58兆7千億円)で中国の都市で、首都北京(GDP3兆5,371億元)を抑えて中国一番の規模です。日本と比べると東京都GDPの約半分107兆7千億円(対上海市比54%)ですが、前年比GDP成長率で見ると上海市が5.9%に対し、東京都は0.9%と大幅に開きがあります。また、10年前の上海市の2009年度1兆5,046億元と比べると、約2.5倍の規模に成長をしていますが、東京都の2009年度85兆2千億円との比較では26%増の成長率にとどまっています。

現時点では東京都と上海市では大きく差がありますが、近年の急激に成長している上海市は、今後の発展と可能性を秘めた魅力的な都市であることが伺えます。

GDP 2019年度 前年比 10年前比
上海市 58兆7千億円 5.9%↑ 153%↑
東京都 107兆7千億円 0.9%↑ 26%↑

※上海市の金額は、比較するために1元15円で置き換えて記載。

産業:意外にも工業が主力?!

上海は、中国の商業、金融、交通などの中心地とも言われていますが、実は現在の主力産業は「工業」です。2019年度では、第三次産業の割合が70%を超えており、付加価値額で「工業」が最も多く9,670億元。前年比成長率が高い業種は、「金融業」11.6%増で、最も金額で多かった「工業」は0.4%の伸びとなりました。

「工業」のうち、「電子情報製品製造業、自動車製造業、石油化学工業及び精密化学工業製造業、逸品鋼材製造業、プラントセット製造業、生物医薬製造業」の6つが上海重点工業と言われており、工業総生産額の67%を占めております。

成長率が一番高かった産業「金融業」ですが、金融センターの開設、改革が促進された関係から、証券取引所、先物取引所、金取引所、共に取引量が増加しております。また、保険会社の保険料収入も大きく増加しているところも、成長率が高くなった要因の一つです。

近年では、新エネルギー、ハイエンド機器、新世代情報技術、新素材など「産業戦略的新興産業」の成長が著しく、付加価値額が6,133億元(前年比8.5%増加)で、今後期待される産業であると言われております。

主要産業・付加価値 2019年度 前年比
工業 9,670億元 0.4%↑
金融業 6,600億元 11.6%↑
卸売・小売業 5,023億元 2.4%↑
情報産業 4,094億元 10.1%↑
不動産 3,300億元 5.1%↑
交通運輸・郵便業 1,650億元 3.6%↑

貿易:港の貨物の輸出入総額 世界都市のトップ!

上海港の貨物の2019年度輸出入総額は8兆4,267億元で、前年より1.2%下落していますが、世界都市のトップに立っています。そのうち、輸入は3兆5,453億元で、2.6%減少しました。輸出は4兆8,814億元で、0.2%減少しました。

工業が依然として規模は大きいものの、金融業や情報産業、新興産業などが成長を牽引しているところから、「世界の工場」から「世界の市場」への動きが見えた数字の変化だと思います。魅力的な「世界の市場」の経済変化を先読みし、ローカル企業との関わり合いを如何に上手く取引していくかが、今後のカギになるのではないでしょうか。

【上海市基礎情報まとめ】

各項目 2019年度 前年比
面積 6,340.5㎢
人口 2,428万人 0.2%↑
人口密度 3,829人/㎢ 0.2%↑
GDP 3兆8,155億元 5.9%↑
第一次産業GDP割合 0.27% 5.0%↓
第二次産業GDP割合 26.99% 0.5%↑
第三次産業GDP割合 72.74% 8.2%↑
一人当たりGDP 15万7,279元/人 5.7%↑
一人当たり可処分所得 6万9,441元 8.2%↑
社会消費品小売総額 1兆3,497億元 6.5%↑
輸出額 4兆8,814億元 0.2%↓
輸入額 3兆5,453億元 2.6%↓

上海に赴任して約1年半経過しますが、改めて数値で見ると把握できていないことが多く、数値確認の重要性を再認識いたしました。本記事をお読みの皆様は、すでに実践されていると思いますが、自身の業界や自社の数値等、今一度整理していただき、今後の事業戦略を見直すきっかけにしていただけますと幸いです。

日本よりも経済成長を感じやすい環境にいることを再認識できましたので、上海の成長に負けないよう自分自身も成長していきたいと思います。

※上海の数値情報は下記参照。

国家統計局

上海市統計局

※日本の情報は下記参照。

総務省統計局

東京都総務局

外務省

国土交通省国土地理院

以上

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