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更新日:2020.09.29
北京は、政治・文化・国際交流など様々な中心地として、中国を知る上では欠かせない都市です。最近では、コロナ対策の中で国際便の北京直行便が長期間制限されるほど、中国の中でも重要な都市として扱われています。
そんな中国の首都・北京について、武漢、上海に続く都市シリーズ第三弾として、今回も数字を用いてご紹介をいたします。
北京は上海と同じ「直轄市」で中国の首都です。政治の中心といわれており、中国共産党の本部所在地や、中央政府の国務院所在地、中国の国会「全国人民代表大会」など、政治にかかわる多くの本拠地が北京にあります。
北京市の中心部西城区にある「中南海Zhōng nán hǎi」は国家中枢であり、日本に置き換えると「官邸」や「永田町」などと同様、中国政府・党首脳部を指す言葉です。また最高領導人(最高指導者)の居住地と言われています。
弊社スタッフ撮影:故宮
北京市は面積16,410.54㎢の都市で、日本の都道府県と比較をすると、東京都(2,194.07㎢)の約7.5倍の面積であり、岩手県(15,275.01㎢)や四国(18,803.33㎢)と同じぐらいの大きさです。
弊社スタッフ撮影:万里の長城
北京には2つ空港があり、その一つ北京首都国際空港は1958年に中国で最初にできた空港です。2019年末現在、首都空港では、国内(香港、マカオ、台湾を含む)31の航空会社と、62の外国航空会社を含む93の航空会社が商用便を運航しており、65の国と地域の294の目的地と国際便にサービスを提供しています。年間乗客取扱数は2年連続で1億を超え、10年連続で世界2位の規模を誇り、中国最大、アジアでも最大の規模の空港です。
もう一つの空港は、2019年9月に新しく新設された空港「北京大興国際空港」です。アジア最大級の北京首都国際空港が空港の処理能力が限界に達したため、飽和状態解消の狙いで新設されたと言われています。
北京では環境・渋滞対策として、2つの政策を行ってきました。一つは、2008年から行われている自動車ナンバープレート末尾の偶数・奇数によって走行可能な日を分けた規制です。もう一つは、2011年から行われているナンバープレートの交付にかかる抽選制度です。その結果、平日のピーク時における北京の平均交通指数は5.5前後(軽度の渋滞)で50%ほど低下し、渋滞が減ったことでアイドリング時に発生する汚染物質の排出も大幅に減少させたと報告されています。
なお、現在のナンバープレート規制は末尾の偶数・奇数ではなく、末尾のランダムな数字2つに変わり継続されています。
参照:北京の自動車ナンバー別走行規制が渋滞・煙霧改善に大きな効果「人民網日本語版」
北京市公安局公安交通管理局
北京市の2019年度の人口は2,153.6万人で、中国の中では重慶市、上海に次いで3番目に人口が多い都市で、日本で一番多い都市・東京都(1,383万人)の約1.5倍あります。上海と同様で人口増加はあまりなく、前年と比べ6,000人減少しています。(前年比99.97%)北京市の2019年度の人口密度は1,312人/㎢で、東京都(6,306人/㎢)の約2割程度で、千葉県(1,217人/km2)と同等です。
北京は国内の高等教育機関の中心地であり、国内で最も多くの主要大学が集まっています。中国最上級で優秀な大学といわれている「北京大学」と「清華大学」はどちらも北京にあります。1898年に中国で最初にできた「北京大学」は文科に強い大学で、現在の習近平国家主席が卒業した「清華大学」は理工に強い大学といわれています。
中国には「211工程」という中国政府の教育部が1995年に定めた政策があり、21世紀に向けて中国約100の大学に重点的に投資していくとしたものです。地域ごとに重点大学が設定されていますが、北京が指定されている大学の数が最も多く、上記で触れた2校が含まれます。ちなみに中国の中で大学数が一番多いのは江蘇省です。
参照:中国教育在线より
日本の首都・東京は、政治、経済など日本に集中をしておりますが、中国の首都ではどのような産業が盛んであるか知らない方も多いのではないでしょうか。どの産業が主力で伸び率が高いのか、2019年度の数字をもとにご紹介をいたします。また、中国で唯一開催された北京オリンピックについても経済効果の観点でご紹介をしていきます。
北京で一番盛んな産業は金融業で、成長率も一番高いです。前年と比べ増加している率が高いものが多いですが、中でも保険料収入は前年比15.8%と全体を通しても大きな伸び率です。ハイテク産業、戦略的新興産業については、上海でも同様でしたが、政策という関係からそれぞれ前年比9.3%、5.5%と高い伸び率を維持していました。
上海や武漢などは全般的に前年比増の産業ばかりでしたが、北京については前年比がマイナス10%越えの細分類産業、例えば石油石炭およびその他燃料加工業、化学原材料および化学製品製造業があります。作ればなんでも売れるという時代ではないことが、表れている数字だと思います。
主要産業・付加価値 | 2019年度 | 前年比 |
---|---|---|
工業 | 4,241.1億元 | 3.0%↑ |
金融業 | 6,544.8億元 | 9.5%↑ |
卸売・小売業 | 2,856.9億元 | 1.6%↑ |
宿泊業、飲食サービス業 | 540.4億元 | 0.3%↑ |
不動産 | 2,620.8億元 | 6.9%↑ |
交通運輸・郵便業 | 1,025.3億元 | 2.2%↑ |
中国で初めて開催されたのが2008年の北京オリンピックです。中国では「8」という数字が縁起良いということから、開会式は2008年8月8日午後8時(中国標準時)から開始されています。
現在よりも成長率が高い当時の中国に、オリンピックの要素が加わり、更に経済成長を加速させたと言われています。オリンピック開催権を獲得した2001年の後、5年間(02~06年)の年平均GDP成長率は12.1%に達し、獲得前の5年間(1997~01年)の平均を1.8ポイント上回りました。
オリンピックの恩恵を受ける中国全体産業の経済効果は、2003年から2010年8年間で経済効果が717.06億米ドル(約5,019億元)で、うち直接的なもので419.32億米ドル(約2,935.24億元)と報告されています。
2022年には冬季オリンピックが北京で開催予定ですが、新型コロナウイルスによってどのような影響が出るか今後気になるところです。
参照:专家称北京奥运会的直接经济收益超过了20亿美元
2008年北京オリンピックの経済効果
【北京市基礎情報まとめ】
各項目 | 2019年度 | 前年比 |
---|---|---|
面積 | 16,410.54㎢ | ― |
人口 | 2,153.6万人 | 0.03%↓ |
人口密度 | 1,312人/㎢ | 0.02%↓ |
GDP | 3兆5,371.3億元 | 6.1%↑ |
第一次産業GDP割合 | 0.3% | 2.5%↓ |
第二次産業GDP割合 | 16.2% | 4.5%↑ |
第三次産業GDP割合 | 83.5% | 6.4%↑ |
一人当たりGDP | 16万4,242元/人 | 6.9%↑ |
一人当たり可処分所得 | 6万7,755.9元 | 8.7%↑ |
社会消費品小売総額 | 1兆2,270.1億元 | 4.4%↑ |
輸出額 | 5,167.8億元 | 6.1%↑ |
輸入額 | 2兆3,495.7億元 | 5.3%↑ |
北京は首都ということもあり、中国初が多く、また各指標の動きでも先行した動きが見えるなど、成長が著しい中国の動向を見る上では欠かせない都市です。
中国各都市で異なる経済変化があるため、各都市で見ることで中国についてより理解を深められると感じましたので、他の都市もご案内できるよう引き続き準備してまいります。
以上
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