第79期 数字で見る四川省・成都

更新日:2021.11.15

 「成都」と言えば「四川料理」や「パンダ」などが有名ですが、皆様は訪れたことはありますか?私は先日初めて成都に訪れてみたのですが、印象がガラッと変わりました。

 私の勝手な「成都」のもともとのイメージは、「パンダの生息地+内陸都市=まだまだ田舎」と思っておりましたが、実際にどんどん開発されている様子を見て「想像以上に都会+発展都市」の印象へと変わりました。

 そんな「成都」はどんな都市なのか?個人的にも興味があり、都市シリーズ第五弾として、今回も数字を用いてご紹介致します。

筆者撮影:長江に架かる九眼桥

 

成都(chéng dū)の基礎情報

 成都は四川省に属しており、四川省の中心都市、省都(省会)です。北京、上海、深圳でご紹介をした都市は「一級都市」でしたが、成都は一級都市の次に大きな都市「新一級都市(新一线城市)」に選ばれています。また、三国時代では「劉備」が仕切っていたとされている「蜀」の首都とされていた都市です。

 成都と言えば「四川料理」が有名ですが、マーボー豆腐(麻婆豆腐)やホイコーロー(回锅肉)など日本で中華の辛い食べ物と言われるものは大体四川料理です。辛さのイメージがあると思いますが、筆者の私が食べた感想としては、山椒の「麻」痺れのほうが特徴的です。

筆者撮影:「陈麻婆豆腐」のマーボー豆腐

パンダの生息地!四川省では世界の約7割以上

 日本でもパンダを見たことがある方もいるのではないでしょうか。私も子供のころ神戸の王子動物園で見たことがありますが、実は日本にはたった10頭しかいないようです。

 では、世界全体ではどうかというと、2021年10月現在世界で飼育されているパンダの数は673頭に達し、野生ジャイアントパンダの総数は1,864頭に達しています。案外多いですね。

 パンダは中国を代表する動物ですが、実は生息地が四川省の一部です。四川省で飼育されているパンダは548頭(全世界の81%)、野生ジャイアントパンダは1,387頭(全世界の74.4%)と、世界のうち大半は四川省に生息しています。

 ちなみに私が行った「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」には、200頭以上のパンダが飼育され、他の動物園では普段動かないイメージのパンダが活発に動いている様子や、生まれたてのパンダなど、普段見られない様子を見ることができます。成都に行った際にはぜひ一度訪れてみてください。

 

筆者撮影:成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地のジャイアントパンダ

参照:四川省のジャイアントパンダは1,935頭に達しました

成都の経済

 成都はどのような産業が発展しているか皆さんはご存知でしょうか。実は「パンダ」や「四川料理」などの観光産業だけではありません。実際にどのような産業が発達しているのか、背景も含めてご紹介を致します。

 

筆者撮影:成都の繁華街・太古里

内陸都市化計画:「西部大开发」

背景

 西部都市(四川、重慶、チベット、ウイグル、内モンゴルなど)は中国の71.4%の面積を占めていますが、2003年当時一人当たりGDPは全国平均の2/3にしか過ぎませんでした。西部地域は天然資源が豊富であり、市場としての可能性はありますが、自然や歴史的背景から、比較的発展が遅れ、東部と西部の格差の問題がありました。

政策

 西部地域の開発・発展を目的として、2000年頃から全人代で政府のいくつもの重要政策が打ち出されていきました。西部地域の中心都市の成都や重慶、西安などを中心に実行されています。

 中国の政策で良く見かける方法で、一部の中心地域を発展させ、隣接都市にも徐々に経済発展を波及させる、その一歩として重点に置かれた都市のひとつが成都です。主に交通インフラへの投資が多い印象で、「一路一帯」構想のシルクロード経済の重要な中心都市として発展させる思惑が見えています。

主な政策

 鉄道整備、大学整備、ハイテク工業化、ハブ空港プロジェクト など

参照:西部大开发简介

電子情報産業が1兆元を突破!

 成都の中では製造業(工業)が最も発達しております。特に「電子情報産業」の生産規模は中西部の中でトップです。2017年、2019年など電子情報産業向けの政策が複数発表されており、「半導体部品(集積回路)、新型ディスプレイ、AI、5G、IoTなど」新しい分野を中心が対象となっています。政策の内容としては、「成長企業、M&A、新製品開発、海外特許の購入などに対して補助金やサポートを実施する」という内容でした。

コロナ禍の状況

 2020年度で19.8%の成長率を達成したのが「電子情報産業」です。成都では生産をフル稼働できるように政府の支援実施し、2020年2月末時点で電子情報産業の稼働率を100%に回復することができました。また、海外製品の生産が停滞する中、成都にある国際企業への支援を行い、DellやIntelなどの有名企業は急速に生産を拡大しました。

 以前から電子情報産業の発展のため先取りした政策を打ち出し、更にコロナ禍での手厚い対応なども功を奏し、2020年度には成都初の一兆元を突破する大規模な産業となりました。現在では、国際的にも有名なフォーチューン500の企業が約60社などを中心に、国際的な有名企業や一定規模以上の企業が成都に約1,400社があります。

参照:成都高新区关于支持电子信息产业发展的若干政策

成都市主要産業

主要産業・付加価値 2020年度 前年比
工業 12,733.7億元 9.9%↑
金融業 2,114.8億元 7.7%↑
小売業 6,994.3億元 2.4%↓
飲食サービス業 1,124.2億元 1.8%↓
交通運輸・郵便業 897.1億元 0.9%↓

成都市基礎情報まとめ

各項目 2020年度 前年比
面積 1.2万㎢
人口 2,093.8万人 26.3%↑
人口密度 1,744.8人/㎢
GDP 17,716.7億元 4.0%↑
第一次産業GDP 655.2億元 3.3%↑
第二次産業GDP 5,418.5億元 4.8%↑
第三次産業GDP 11,643.0億元 3.6%↑
一人当たりGDP 10,6949元/人 3.4%↑
一人当たり可処分所得 42,075元 6.5%↑
社会消費品小売総額 8,118.5億元 2.3%↓
輸出額 4,106.8億元 23.7%↑
輸入額 3,047.4億元 20.7%↑

参照:成都市人民政府のHPより

 資源の豊富さや海外との重要な拠点として、中国政府側が早くから目をつけ、計画を立て行動し続けていることが、現在の発展へとつながっていると感じました。まだまだ発展の途上段階の中国は、どんな未来を描いて政策を実行しているのかを予測することで、今後の政策などが見えるかもしれません。沿岸都市だけでなく内陸都市についても、今後注目していきたいと思います。

 

執筆者: 利墨(上海)商务信息咨询有限公司 逢坂興昌

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