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更新日:2022.02.18
近年ビットコインを筆頭に通貨のデジタル化が盛り上がりを見せております。中国では「デジタル人民元」の開発が進んでおり、北京オリンピックで導入するニュースを聞いた際には中国の開発スピードに驚かされました。現在デジタル人民元はどのように開発され、どのくらい導入が進んでいるのかご紹介させていただきます。
デジタル人民元とは中国人民銀行が発行する仮想通貨です。仮想通貨というとビットコインが有名ですが、デジタル人民元はステーブルコインという種類の仮想通貨で中国人民銀行がデジタル人民元の価値を担保することによってビットコインのような大幅な価値変動は発生しません。
2022年1月4日よりデジタル人民元を利用するためのアプリ(e-CNY)がベータ版としてiOS/android共にリリースされました。アカウント作成においては電話番号の登録と支付宝(Alipay)とのアカウント紐付のみで簡単に登録が可能です。
現在は10+1のテスト地区(中国の10都市及び北京オリンピック会場)でデジタル人民元を使用しての決裁が可能です。ただし、現在はベータ版のためテスト地区であったとしてもデジタル人民元を使用できない店舗はまだまだ多いです。
参考:e-CNY アプリより抜粋
デジタル人民元アプリ(e-CNY)の累計ダウンロード数は1月27日時点で約3,000万ダウンロードされております。およそ1か月で3,000万ダウンロードは好調なようにも思えますが、中国の主な決済サービスである支付宝(Alipay)は2月時点で200億ダウンロード、微信(wechat)は460億ダウンロードされていることからデジタル人民元アプリ(e-CNY)の普及にはまだまだ時間がかかりそうです。
参考:姜樊-电子银行网「接近3000万!数字人民币app下载量继续攀升 场景不断增多促进数币“正向循环”」より抜粋し、日本語訳(https://www.cebnet.com.cn/20220128/102791223.html)
デジタル人民元普及に向けて中国人民銀行は大規模なキャンペーンを実施しております。
例えば中国のハワイといわれている海南島の海口中央支店にて海口市民向けて抽選で5万人に200元(約3600円)、合計1000万元(約1億8000万円)のデジタル人民元を配布するキャンペーンを実施しております。
参考:苑菁菁-中国新闻网「海口向市民发放1000万元数字人民币消费红包」より抜粋し、日本語訳(https://www.chinanews.com.cn/cj/2021/12-21/9634801.shtml)
また、民間企業でもデジタル人民元を使用して支払を行うと安くなる割引券の配布を実施しております。
参考:美团キャンペーンサイト
デジタル人民元と支付宝(Alipay)、微信(wechat)の決済サービスで何が違うのか。デジタル人民元のメリット・デメリットをご紹介します。
・デジタル人民元は中国中央銀行が保証する法定通貨となります。そのため、銀行の倒産リスクなども考慮する必要のない安全な通貨となります。
・支付宝(Alipay)、微信(wechat)で決済した際は支払先に決済情報が送信されますが、デジタル人民元アプリの場合は国が決済情報などの個人情報を管理しているので支払先にも個人情報が残りません。そのため個人情報漏洩などの事故を未然に防ぐことができます。
・支付宝(Alipay)、微信(wechat)はインターネット接続環境のある場所でしか使用できないといった問題がありました。デジタル人民元アプリはNFCタグに対応しており、日本のICチップのようにインターネットに繋がらない場所でも非接触で使用することが可能です。
・支付宝(Alipay)、微信(wechat)には支払の割り勘機能や決済金額に応じて自動でポイントが付与されるような様々なサービスがありますが、デジタル人民元アプリでは現状お金を支払うまたは受け取るしか機能がありません。
・デジタル人民元を使用出来る店舗はテスト地区でもかなり限られており、店舗にデジタル人民元を使えるか確認する必要があります。
デジタル人民元は中国居住者の他に中国旅行者にもメリットがあります!!
現在、中国旅行者が中国で使用できる決済手段は現金、クレジットカード、支付宝のTourPassサービスの主に3つとなります。しかし、現金の場合はおつりの計算など管理が面倒ですし、クレジットカードやTourPassだと決済手数料が発生してしまうというデメリットがありました。デジタル人民元は決済手数料が無料というメリットがあるのでデジタル人民元が中国国内で普及すれば快適に中国旅行が楽しめるかもしれません。
デジタル人民元をどうして普及させたいのかについては中国人民銀行から下記の説明が出ております。
参考:中国人民銀行「中国数字人民币的研发进展白皮书」より抜粋し、日本語訳(http://www.pbc.gov.cn/goutongjiaoliu/113456/113469/4293590/index.htm)
今回デジタル人民元に関して調査してみましたが、中国ではデジタル決済が普及しているためデジタル人民元の導入に抵抗は少なそうですが、支付宝(Alipay)、微信(wechat)の決済サービスが便利であまりに普及してしまっているため、デジタル人民元の普及にはまだまだ時間がかかりそうです。
ただ、外国人もデジタル人民元を使用できるようになれば、中国旅行時に中国現地の人と同様に電子決済が可能となるので、旅行中の買い物がより便利になるのではないかと思います。
末筆となりますが、今後は通貨をはじめ紙で管理されていたものが次々と電子化され、業務の高速化・効率化が求められております。このような時代で社内業務に紙を使っているのはリスクになるのではないかと感じております。弊社ではワークフローサービスを提供しており、社内申請書の電子化をサポートしております。
申請書の電子化に取り組んでいらっしゃる企業様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。
執筆者:利墨(上海)商务信息咨询有限公司 高名 宏明
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