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更新日:2022.08.01
蘇州は運河が栄えた姿から「東洋の水の都(ベニス)」と呼ばれています。水域が総面積の42.5%を占め、その関係から河や橋が中国で最も多い都市です。紀元前514年に呉の都として制定され、約2,500年の歴史を持った長江流域の中で最も古い都市です。
都市シリーズ第六弾として、近代の「蘇州」発展の様子や日本との関りなど、今回も数字を用いてご紹介いたします。
筆者撮影: 金鸡湖の風景
蘇州市は江蘇省に属しており、現在の江蘇省の省都は南京でありますが、経済は江蘇省の中で蘇州が一番発展し、一級都市の次に大きな都市「新一級都市(新一线城市)」に選ばれています。
蘇州と上海は約85㎞の距離(東京から新幹線で小田原の距離)で、上海周辺都市(杭州、南京など)と比べて最も近く、実は高鉄(中国の新幹線)を利用すれば30分で行き来ができてしまうほど、非常に上海と密接している都市です。
蘇州の面積は8,657.32㎢で、日本の都道府県と比較すると東京都(2,194㎢)の約3.9倍、広島県(8,479㎢)と同じくらいの大きさです。
蘇州には街は中心地にあたる姑蘇区、高新技術開発区 (新区又は虎丘区とも呼ばれる)、シンガポール工業園区 (園区)、呉中区、相城区、呉江区の6市区に分かれ、また、蘇州市区周辺の張家港市、常熟市、太倉市、昆山市の県級市を含むエリアを大蘇州圏と呼ばれています。
筆者撮影: 蘇州の街並み
2021年時点で蘇州は1,000社以上の日系企業が進出していますが、国家級ハイテク産業開発区と認定されている「蘇州高新区」が最も多く日系企業は600社を超えています。蘇州高新区では約2,000社の外資系企業が進出されていますが、日系企業はその約3分の1を締め、諸外国と比べ日本との繋がりは強いと言えます。
日系企業が蘇州市の中で最も多い「蘇州高新区」では、日本ハイテク産業との大規模な投資プロジェクト計画を遂行、中国東部初の日本人学校の設立など、日系企業や日本人を誘致しやすいような政策を打ち出しており、政策の背景から蘇州市政府の日本との繋がりを大切にしていることがわかります。
蘇州は所属している江蘇省の中で一番経済発展している都市で、中国の中でも6番目に発展している都市です。蘇州の中では意外にもサービス産業(第三次産業)が全体の50%を超え最も発達しており、製造業とサービス業を融合させて発展を加速させております。発展している背景や、現在の注力産業についてご紹介いたします。
筆者撮影: 东方之门
国内開放と国際的な産業移転を利用した戦略、「从五湖四海走向五洲四洋」を提案し、経済開発区や工業団地を設立し、海外企業を誘致させ、「世界の工場」となって、輸出型経済の主導的地位を確立しました。
中国で一般的に採用されている「開発と計画を同時に実行」モデルを捨て、シンガポール初の工業団地であるジュロン工業団地の「計画を立て、計画なしに開発しない」というコンセプトを学んでいます。現在では、その原則に従って約27年間実行しており、今日の発展に続いているとされています。そのほかにも、シンガポールの投資戦略なども活用して、海外企業の誘致を促進しております。
他の都市と比べ進んでいる要因は、9つの国家レベルの経済開発区と3つの国家レベルのハイテク産業開発区を設定しており、古都の保護により開発が制限されている姑蘇区を除き、蘇州市管轄の他の4区4県には、いずれも国家レベルの開発区が1つ以上存在しています。合弁事業の5年間の免税など、戦略的な特別政策を実行することで、経済発展につなげています。
2013年からはイノベーション主導型の開発計画が組まれ、労働集約型ローエンド産業からハイエンド産業への転換を図っており、特に現在では「電子情報、装置製造、バイオ医薬、先端材料」の4大産業に注力しております。2021年の4大産業生産額は3兆8,000億元に達し、蘇州市全体の中で一定規模を超える総産業生産額の94.3%を占めております。
蘇州市は産業開発の促進に力を入れており、研究開発の集中と優秀人材の誘致が主な政策です。
・研究開発の集中
国家レベルの研究開発は全て、市レベルでは研究開発の90%以上、4大産業に集中させており、4大産業のイノベーションを起こせるよう積極的な政策であることがわかります。
・優秀な人材獲得
優秀な人材を誘致するための「一人一政策」が行われています。給与手当や住宅手当などを活用して、起業家、重点産業の研究員、海外人材などの優秀な人材を獲得し、イノベーションを起こしやすい環境づくりに積極的であることがわかります。
参照:苏州市人民政府-苏州市发布产业创新能力白皮书 重点展现四大产业领域发展情况
主要産業・付加価値 | 2021年度 | 前年比 |
---|---|---|
工業 |
9,962.52億元 |
11.2%↑ |
金融業 |
1,970.93億元 |
6.8%↑ |
小売業 |
2,398.32億元 |
12.5%↑ |
宿泊、飲食サービス業 |
354.04億元 |
9.3%↑ |
交通運輸・郵便業 |
577.46億元 |
7.5%↑ |
各項目 | 2021年度 | 前年比 |
---|---|---|
面積 |
8,657.32㎢ |
― |
人口 |
1,274.96万人 |
0.8%↑ |
人口密度 |
1,473人/㎢ |
― |
GDP |
2兆2,718.3億元 |
8.7%↑ |
第一次産業GDP |
189.7億元 |
0.8%↓ |
第二次産業GDP |
1兆872.8億元 |
9.5%↑ |
第三次産業GDP |
1兆1,655.8億元 |
8.1%↑ |
一人当たりGDP |
17.75万元/人 |
8.1%↑ |
一人当たり可処分所得 |
6万8,191元 |
9.0%↑ |
社会消費品小売総額 |
9,031.3億元 |
17.3%↑ |
輸出額 |
1兆4,875.8億元 |
15.0%↑ |
輸入額 |
1兆456.2億元 |
11.5%↑ |
参照:苏州市统计局-2021年苏州市国民经济和社会发展统计公报
本数値は大蘇州圏(蘇州市・張家港市・常熟市・太倉市・昆山市)が対象です。
蘇州は「世界の工場」というイメージがあったことから、第三次産業の数値にはじめは疑問を抱いておりました。しかし、ハイテク産業に力を入れている政策や実際の発展状況を見て、納得したとともに中国・蘇州の促進力の強さを感じました。
継続的な発展をするためには、現状や時代に合った政策の変化を計画的に行うことが大切です。弊社も同じ施策だけではなく、フェーズに合わせて戦略を立て、時代と共に成長をしていけるよう、日々精進してまいります。
執筆者: 利墨(上海)商务信息咨询有限公司 逢坂興昌
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