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更新日:2022.09.16
中国では、最近キャンプブームが起きています。新型コロナウイルス感染症が広まるなか、旅行や、外出が制限され、その反動なのか、近郊で密集しない「キャンプ」や「グランピング」といったアウトドア需要が増えているようです。中国語版インスタグラム「小紅書」では、「キャンプ」や「グランピング」といった言葉の検索数が増加したといいます。
今回は、最近の中国のキャンプブームについて、ご紹介させていただきます。
sabinamajoorによるPixabayからの画像
中国におけるキャンプブームは、新型コロナウイルス感染症が広まった2020年から始まりましたが、2022年は爆発的な加速をしています。冒頭でも書きましたが、中国語版インスタグラム「小紅書」では、5月の労働節期間中、キャンプ関連の検索数が、2020年は前年同期比290%、2021年は230%、2022年は746%と、今年急激に増加しました。上海でも2022年3月末から5月末までロックダウン政策が行われており、外出することができませんでしたが、ロックダウン後、6月の端午節にどこにいくか、キャンプに関する検索数が233%も増加したといいます。
特に、2022年の618商戦では、キャンプ用品の売上が増加したことが話題になりました。百度×京東による「618消費者動向洞察レポート」によると、キャンプ用テーブル&チェアは前年同期比800%、ポータルブルテーブル・ベットは前年同期比541%、キャンピングカーは前年同期比389%、テント・マットは前年同期比165%など、キャンプ用品の売上が増加しており、その注目の高さが分かります。
(※1)618商戦…上半期最大のECセールイベント。中国を代表するネット企業、京東商城(JD.com)が、設立日の6月18日にセールを始めたところ他社も参入し発展。そのため618と呼ばれる。
参照:
中国经济网 (ce.cn)-小红书发布五一数据,露营热度连续三年大涨
中国经济网 (ce.cn)-露营持续升温观察
199IT中文·互联网数据资讯网-百度&京东:2022年618消费趋势洞察报告
中国におけるアウトドア用品の人気ブランドを紹介します。
アウトドア用品ブランドランキング
参照:排行榜123网 (phb123.com)-2022户外用品十大品牌排行榜
※抜粋し筆者追記。
このランキングは、ブランドの評価と販売に基づいた総合的なランキングとなっています。こうしてみると、海外ブラントの人気が高いことがわかります。7位の始祖鸟(ARCTERYX)は、2022年北京冬季オリンピックで習近平国家主席が来ていた防寒着で、中国でも人気となりました。
中国国内ブランドも年々勢いを増しており、例えば2位の探路者は、中国ではとても人気のあるブランドで、2022年上半期の売上高は464百万元(前年同期409百万元、前年同期比113.6%)、利益は20百万元(前年同期13百万元、前年同期比143%)と増加しています。
探路者 財務情報抜粋
参照:前瞻眼-财务分析(报告期)-探路者
※抜粋し筆者追記
中国における2020年以降、キャンプ市場は急速に拡大しており、また今後も増加の見込となっています。
参照:中商产业研究院-2022年中国露营产业市场前景及投资研究报告(简版)
※抜粋し筆者追記
また、キャンプ関連企業数も2020年から急減に増加しています。特に2020年、2021年の企業数は前年同期2倍以上増えています。中国においては、伸びている業界に対し、新規企業の設立も多いことから、キャンプ市場に勢いがあることが分かります。
参照:中商产业研究院―2022年中国露营产业市场前景及投资研究报告(简版)
※抜粋し筆者追記
中国におけるキャンプ場の数は、2015年以降増加傾向ではあります。2020年以降、数値データが開示されておらず正式な数字はだせないものの、市場規模、また関連企業数の増加から、キャンプ場の数も2020年以降は増加すると思われます。
参照:2022年露营及户外用品行业市场现状及竞争格局分析 帐篷消费需求功能属性更明显
※抜粋し筆者追記
キャンプ市場は、新しい消費ポイントとして注目されています。現在は人気のブランドも海外ブランドが占有していますが、中国は国内ブランドに対しての購買意欲も高いことから、今後は、中国国内ブランドの成長に期待ができます。キャンプ形態も、キャンプ+音楽や、キャンプ+お花見といった、コンセプトキャンプなど、多様化を見せており、今後更なる業界の拡大も予想されます。
しかしながら、日本におけるキャンプ場の数は、約2,000カ所以上あると言われていますが、それに比べると、国土の広さ、人口の多さも異なる中国において、キャンプ場の数はあまりにも少なく、建設は今後の課題かと思われます。また、キャンプ場における、ゴミ処理問題、トイレ設備などのインフラ設備が追い付いていないというニュースもあり、問題となっています。これから、清潔で行き届いたサービスのあるキャンプ施設は必須と思われます。
新型コロナウイルスによって、インドアで楽しめる娯楽(オンラインによるゲームや動画配信等)の需要ばかりが高くなるかと思われましたが、外出や海外旅行が難しい状況で、少しでも密集せずに外出する方法として、キャンプが注目され、市場への拡大へとつながりました。行動を制限される日常から、非日常を感じることができることも、注目された理由かもしれません。
業界の浮き沈みが早い中国において、キャンプ市場は今後も娯楽として定着するのか、今後も注視していきたいと思います。
執筆者: 利墨(上海)商务信息咨询有限公司 山田 望由
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