第91期 全人代と何が違う?党大会が中国で重要なワケ

更新日:2022.12.05

中国では2022年10月に「党大会」が実施されましたが、皆様はどんな集会か、何が決まるかご存知でしょうか。全国人民代表大会(以下、全人代)と混乱されている方もいるかもしれません。そこで今回は党大会についてご紹介していきたいと思います。
 以前、全人代についてまとめた記事もありますので、ご参考ください。

第73期 何が決まる?全人代が中国で重要なワケ

党大会とは?

党大会は略称で、正しくは「中国共産党全国代表大会」と言います。中国では第二十回大会なので「二十大」と呼ばれています。名前の通り「党」のイベントではありますが、中国では中国共産党の一党管理が続く国であるため、党大会の決定は「国」そのものの方向性を決めるものになります。そのため中国の将来を決める重要な会議であります。
 大枠を理解していただくために、概要などの基礎情報をまとめてご紹介します。

党大会の写真
第20回党大会、北京で開幕-Xinhua (news.cn)

設立

1921年に第一回党大会で正式な設立を宣言。

開催時期

5年に一度開催。9~11月に約1週間で開催が慣例。

党大会で決まること

規約で定められている内容は下記6つあるが、大まかに分けると役割は3つ。

1)今後の政策の大方針決定

過去5年間の功績を振り返ったうえで、

今後の政治や経済といった様々な分野の政策方針が打ち出される。

→①中央委員会の報告書を聴取・検討。

→②中央規律検査委員会の報告書の見直し。

→③党の重要事項の議論・決定。

 

2)党の規則改正

「党規約」つまり中国共産党の最高規則を変更。

→④党規約の改正。

 

3)党幹部の人事決定

中国共産党のトップ200人「中央委員」など幹部メンバーを専任。

→⑤中央委員会の選出。

→⑥中央規律検査委員会を選出。

参照:党的全国代表大会制度的形成发展和历史经验–党建-人民网 (people.com.cn)
参照:中国共产党章程(全文)_共产党员网 (12371.cn)

中国共産党大会と全国人民代表大会との違い

リスモン調べ第2回「借金王ランキング」 党大会と全人代の違いはわかりますか?違うポイントを4つに絞り、ご紹介いたします。

1.機関が異なる

党大会:「中国共産党」の最高権力機関。つまり中国共産党の最重要事項を決定する会議。
全人代:「国」の最高権力機関。日本の国会に相当する会議と言われている。

2.参加資格が異なる

党大会:共産党員のみ。
全人代:共産党員、民主党員、無党派、宗教関係者の代表資格者。

3.幹部メンバーが異なる

党大会:党大会によって選出された「中央委員会」で、中国共産党の代表として、党大会の決議を履行し、党の全業務を指揮する。
全人代:全人代によって選出された「全国人民代表大会常任委員会」で、全人代(国)の代表として、全人代の人事など重要な権限を行使する。
→現在の総書記、総理など重要なメンバーは「中央委員会」に在籍しており、中国の中で最も重要な機関とも言えます。

4.開催時期・決定事項が異なる

党大会:5年に1度9~11月開催。党政策の大方針を決める。
全人代:1年に1度3月頃開催。党大会で決められた党政策の大方針を中心に、全人代で国としての政策を決める。(政策、予算、憲法や法律の制定・改正、人事等)
→党大会で決まった方針は、国の実質的政策に反映されるため、今後の国の方針を左右する重要な会議であることがわかります。

参照:【“微”讲堂】党代会、人代会,区别在哪儿? (iqilu.com)

過去の党大会では何が決まった?

ここからは具体的に過去の党大会にて何が決まったのか?事例をご紹介していきたいと思います。

第一回(1921年7月開催)

「中国共産党の綱領(理念や活動方針など)」を採択し、中国共産党の誕生を正式に宣言。

第十二回(1982年9月開催)

中国の特色ある社会主義思想の建設という重大な課題と「小康」戦略目標を提出。
「改革開放」が本格化し、社会主義近代化建設に新たな局面が生じた。
※小康:家計にややゆとりがあり、安定した生活を維持できる状態。

第十四回(1992年10月開催)

鄧小平前総書記が「社会主義市場経済」を構築することを明らかにした。
中国の改革開放と社会主義近代化が新たな発展段階に入ったことが示された。

参照:共产党新闻网—资料中心—历次党代会 (people.com.cn)\

「中国共産党」が中国にとって最も重要な組織であることをご理解いただけたでしょうか。その重要な組織の人事、ルール、政策方針などが決まる会議が「党大会」です。
 2022年に入ってからは私のお客様より「明るい話がない」という声が多く、経済の不安が増してきております。今回の党大会で打ち出された方針では、自社の業界にどのような影響が出るのか?を予測し、取引先のリスクヘッジを考えていくようにしていきましょう。

執筆者: 利墨(上海)商务信息咨询有限公司 逢坂興昌

※ 掲載しているブランド名やロゴは各社が所有する商標または登録商標です。
※ この情報の著作権は、執筆者にあります。
※ この情報の全部または一部の引用・転載・転送はご遠慮ください。

おすすめのコラムColumn

第69期 中国のお正月・春節について

第69期 中国のお正月・春節について

コラムをみる

第57期 現地駐在員が教える中国赴任にむけた準備のススメ

第57期 現地駐在員が教える中国赴任にむけた準備のススメ

コラムをみる

利墨サービスLimo Service

中国の
与信管理をサポート

貴社の中国企業との与信判断を徹底的にサポート。

詳細ページへ

低価格の
情報共有ツール

中小規模の中国現地日系企業をシステムの力で「組織力」を強化する!

詳細ページへ

「日本の学び」を
現地スタッフに

中国現地社員教育の課題をリスクモンスターチャイナが解決。

詳細ページへ


資料請求 セミナー一覧