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更新日:2021.03.08
今回も中国の業界分析を見ていきたいと思います。今回の業界は建材産業です。建材産業は、ⅰ 建設用鉱石鉱業、ⅱ セメント製造業、ⅲ セメント・石膏製品製造業、ⅳ レンガ・石材及びその他建材製造業、ⅴ 板ガラス製品業、ⅵ 鉄構物製品業、ⅶ 建築用金属製品業等が含まれます。
2017年における斯業界の市場規模(売上高)は7兆5,000億元(前年比+8%)、税引前当期利益は5,173億元(同+17%)となっており、売上高および税引前当期利益の両方で拡大している様子が窺えます。また、売上高総利益率は6.9%となっており、製造業全体より0.4ポイント高くなりました。
図1
過去10年間における斯業界の自己資本比率について、全体平均は、30%~40%の間で推移しています。最上位層平均は、2013年に一時的な大幅低下が見られたものの、概ね50%を維持しており、最下位層平均は15%前後で推移しています。
自己資本比率は、数値が高いほど自己資本による資金運用の割合が高く、財務体力が高いと評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均30%、全体平均40%、上位層平均45%と業界全体での差が比較的小さい様子が窺えます。
当座比率は、数値が高いほど、短期的な支払能力が高いと評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均48.0%、全体平均55.1%となり、上位層平均では81.9%、最上位層平均では108.4%となっており、斯業界では、上位層における資金の潤沢度合が高いことが窺えます。
図2
過去10年間における斯業界の売掛金回転期間について、全体平均は概ね安定的に推移しています。最上位層平均は大きな変動は見られないものの、徐々に長期化している傾向が表れています。最下位層平均は、2012年まで短期化傾向にありましたが、その後は2016年に大幅に長期化するなどやや不安定な推移が窺えます。
2017年の斯業界における当該指標の最上位層平均、全体平均、最下位層平均はそれぞれ51日、69日、150日となっています。
図3
売掛金回転期間は、日数が短いほど売掛金を短期間に効率良く回収していると評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均103日、全体平均69日、上位層平均64日と全体平均でも2か月以上の回収期間となっており、斯業界における売掛金の回収効率はやや低い状態となっています。
総資産回転率は、数値が高いほど資産を効率良く運用して、売上を獲得できていると評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均0.3回、全体平均0.4回、上位層平均0.6回、最上位層平均1.0回と、全体的に資産効率がやや低い様子が窺えます。
過去10年間における斯業界の売上高総利益率について、全体平均は10%以上を維持しており、近年では最上位層平均に近い水準での推移となっています。一方で、最下位層平均では、2011年にマイナスから脱却したものの、暫く1%台の推移が続くなど、全体平均との乖離の大きさが目立っています。
2017年の斯業界における当該指標の最上位層平均、全体平均、最下位層平均はそれぞれ16.3%、13.3%、2.5%と2013年以降では最高水準となり、収益性の向上が窺えます。
図4
売上高総利益率は、数値が高いほど利益の源泉となる付加価値の割合が高いと評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、最下位層平均2.5%、下位層平均9.0%、全体平均13.3%、上位層平均14.2%と最下位層平均が突出して低水準であり、総じて業界全体での採算性の安定感が表れています。
総資本利益率は、数値が高いほど総資本を効率良く運用して、利益を獲得できていると評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均-0.3%、全体平均4.4%、上位層平均6.3%、最上位層平均8.8%となっており、下位層では赤字企業が多く、収益効率が非常に低い様子が表れています。
自社のお取引先について信用調査を行った際、この業界の状況と比較してみましょう。