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更新日:2021.06.28
執筆:CTC(上海華予信企業信用征信有限公司)
すべての与信意思決定は取引先の情報をある程度把握した上でするものである。取引先の信用評価は量と質のある情報に基づいて行わないいけない。十分な質のある情報は意思決定にとって水の源や木の根のようなものである。取引先の信用評価において、情報の質が非常に重要である。
与信管理担当の主な職責は取引先の情報を収集し、その情報について調査を行い、調査報告書を作成することである。さて、信用情報とは何だろう?
「信用調査業管理条例」では、信用調査業務とは、企業・公的機関などの組織(以下、企業という)の信用情報と個人の信用情報を収集、整理、保存、加工し、利用者に提供する活働であると定義されている。しかし、信用情報とは何かについては明らかにされていない。
「上海市社会信用条例」では、社会信用とは、完全民事行為能力を有する自然人、法人及び非法人組織(以下、情報主体という)が、社会及び経済活動において法定義務を遵守し、又は約定義務を履行する状態であると定義されている。本条例でいう社会信用情報とは、情報主体の法律遵守、契約履行状況を識別、分析、判断できる客観的なデータと資料である。
社会信用情報は、公共信用情報と市場信用情報に分けられる。
公共信用情報とは行政機関、司法機関、公共企業・公的機関等の公共信用情報提供機関が職責の履行、サービスの提供過程において、発生または取得した社会信用情報を指す。
市場信用情報とは信用サービス機構や企業、公的機関等の市場信用情報提供組織が生産経営活動の中で発生、収集又は取得した社会信用情報を指す。
「信用調査サービス管理弁法(意見募集稿)」では、信用情報とは、金融経済活動に必要な個人や企業の信用状況を判断するための各種情報であると定義されている。個人と企業の身分、住所、交通、通信、債務、財産、決済、消費、生産経営、法定義務履行、及びこれらの情報に基づいた個人と企業の信用状況に対する分析、評価などの情報が含まれる。
実際に収集する企業信用情報は主に企業信用取引情報とその他企業信用状況の理解と判断に役立つ情報がある。まずは企業基本情報。企業名、登録住所、企業の年次検査情報などが含まれる。次に企業信用取引情報。信用貸付情報、商業信用取引情報が含まれる。それから企業経営情報。財務情報、管理情報及びその他財務以外の情報が含まれる。最後に、企業信用状況及び経営リスクの判断に役立つその他情報。行政法律執行情報、司法判決情報等が含まれる。
企業信用情報の具体的な内容を確定するには、与信意思決定における情報の役割を考慮しなければならない。実践経験から情報の範囲を確定する基本原則を以下とする。
1、三つの度:情報範囲の広度、情報内容の深度、情報入手の難易度。
情報の全面性、豊かさ、価値を主に考慮する。情報は、詳しければ詳しいほど信用リスクを分析しやすくなるが、情報を入手するのにコストがかかるため、入手の難易度とコストを考慮しなければならない。
2、三つの性:情報の真実性、情報の時効性、情報収集の実用性。
情報の信憑性を主に考慮する。また、情報の時効性も非常に重要であり、入手した情報が適時であることを確保する必要がある。最も重要なのは収集した情報が実用的かつ効果的であることを確保することだ。
情報範囲の基本原則に基づき、企業の実際状況を加味し、信用情報の範囲を以下通り確定する。
情報の種類 | 情報の説明 | コメント |
---|---|---|
基本情報 | 連絡情報 | 具体的な連絡先、住所、電話、ウェブサイト、ウィーチャット、位置、交通、連絡状況など |
登記情報 | 正確な名称、登記住所、登記資本金、経営範囲、信用コード、登記日付など | |
変更情報 | 変更情報:設立背景、沿革、変更事項、重要事件 | |
資格情報 | 資格情報:資格証明書、商標特許、名誉証明書、税務資格、行政許可等 | |
管理情報 | 株主情報 | 所属グループ、株主名称、株主構成、株主紹介 |
投資情報 | 対外投資、投資比率、投資事業、グループ構成 | |
管理者情報 | 董事・管理層・監事氏名、人員紹介、管理構成 | |
組織情報 | 組織構成、管理方法、部門協調、責任権利関係 | |
経営情報 | 仕入情報 | 仕入原材料、仕入地域、サプライヤー情報、支払条件、物流情報 |
生産情報 | 生産規模、設備状況、生産効率、生産技術、製品開発 | |
製品情報 | 主要製品、製品品質、製品ポジション、製品ブランド、製品定価 | |
販売情報 | 販売チーム、販売戦略、顧客情報、販売地域、代金受取条件 | |
財務情報 | 財務諸表 | 貸借対照表、損益計算書 |
財務的要素 | 資産、負債、持分、売上高、コスト、利益 | |
財務データ | 現金、在庫、売掛金、買掛金、払込資本金 | |
財務指標 | 債務返済能力、運営能力、収益力、成長性 | |
信用取引 | 公共信用 | 社会保険評価、税務評価、工商年度検査 |
取引情報 | 取引情報、取引記録の評価 | |
履約情報 | サプライヤー評価、顧客評価 | |
借金返済情報 | 利用銀行、格付、借金返済状況など | |
公共情報 | 政府監督・管理 | 工商、品質検査、環境保護、税務、税関など |
司法裁判 | 訴訟、判決、不信、被執行、裁判所公告、株式凍結 | |
メディア評価 | メディアの報道、ニュース・世論、広告宣伝、入札など。 | |
業界状況 | 業界規模、業界動向、業界指標、業界地位 | |
その他の情報 | 現地調査 | 現地調査情報と分析、調査分析 |
専門家判断 | 業界の専門家による分析と判断、リスク評価と分析 | |
競争策略 | 同業者の分析、市場地位と競争戦略の優位性 | |
マクロ環境 | 業界の安定性、産業チェーンの集積、マクロ環境 |
取引先の信用リスク分析において、不良情報は極めて重要である。不良情報の内容を確認することはリスク分析の核心である。不良情報とは、対象の信用状況にネガティブな影響を及ぼす情報であり、借入、掛買、担保、賃貸、保険などの活動において契約通りに義務を履行しなかった情報、行政処分情報、裁判所による義務履行や強制執行の判決情報及び国務院信用調査業監督管理部門が定めたその他不良情報が含まれる。概して、不良情報には、契約履行に関する不良情報と社会管理に関する不良情報が含まれる。契約履行に関する不良情報は主に平等な対象間の民事や商事活動によって発生し、対象の契約履行に関する信用力を反映する。つまり、対象に信用を与えた時にその信頼が裏切られたかどうか、取引双方の約束が破られたかどうかを反映できる。一方、社会管理に関する不良情報は、対象が社会管理規定を遵守したかどうか、また関連規定を遵守しなかった場合、積極的に相応の法律責任を負ったかどうかを反映できる。
信用リスクを分析する中、深刻な不良情報は与信意思決定における「1票否決」要素とすることができる。
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