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更新日:2021.08.30
今回も中国の業界分析を見ていきたいと思います。今回の業界は宿泊業・飲食サービス業です。宿泊業・飲食サービス業には、ⅰ 宿泊業、ⅱ 飲食サービス業の2つの業種が含まれます。
2017年における一般消費財の小売総額は36兆6,262億元(前年比+10.2%)であり、その中で、飲食サービス業の売上高は3兆9,644億元(同+10.7%)となり、消費財の小売総額より0.5ポイント上回り、GDPの4.8%を占めました。飲食サービス業において一定額以上の売上高を有する大規模企業の売上高は4,420億円(2012年)から5,127億円(2016年)に増加し、+16.0%の成長率となりました。法人数は23,390社(2012年)から26,359社(2016年)に増加し、+13.0%となりました。継続的な消費拡大と飲食サービスの発展により、斯業界は着実に成長してきており、近年は10%前後の成長率を保ちながら、安定的な成長をしています。
過去10年間における斯業界の自己資本比率は、2014年に急激な低下が生じています。全体平均は40%前後での推移となっており、最上位層平均は、2014年の急落後でも45.0%を維持しています。一方、最下位層平均においては、2013年まで上昇基調にありましたが、2014年以降は10%程度での推移が続いています。
自己資本比率は、数値が高いほど自己資本による資金運用の割合が高く、財務体力が高いと評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、最下位層平均10%、全体平均35%、最上位層平均45%と下位層よりも上位層の方が、差が小さい様子が表れています。
当座比率は、数値が高いほど、短期的な支払能力が高いと評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均44.8%、全体平均69.8%に対して、上位層平均99.6%、最上位層平均127.9%と上位層における水準が高くなっています。斯業界では、上位層における資金の潤沢度合いが高いことが窺えます。
過去10年間における斯業界の売掛金回転期間について、全体平均は概ね安定的に推移してきました。最下位層平均は、2013年まで急激に短期化が進んだものの、その後やや長期化し、2か月程度の回収期間となっています。一方で、最上位層平均は、全体平均と同様に安定推移しており、10年間常に10日程度の回収期間を維持しています。
2017年の斯業界における当該指標の最上位層平均、全体平均、最下位層平均はそれぞれ9日、28日、61日とやや短期化の傾向が窺えます。
売掛金回転期間は、日数が短いほど売掛金を短期間に効率良く回収していると評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均46日、全体平均28日、上位層平均14日となっており、下位層と上位層の差は小さく、業界全体で概ね1か月前後で回収が行われていることが表れています。
総資産回転率は、数値が高いほど資産を効率良く運用し、売上を獲得できていると評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均0.2回、全体平均0.4回、上位層平均0.5回、最上位層平均0.9回と、全体的に資産効率がやや低い様子が窺えます。
過去10年間における斯業界の売上高総利益率は、多少の変動を繰り返しながら、徐々に低下している様子が表れています。10年間で、全体平均では46.3%から10.4%に下がり、最上位層平均では69.1%から32.9%へ、最下位層平均では21.1%から-11.6%にそれぞれ低下しています。2017年の斯業界における当該指標の最上位層平均、全体平均、最下位層平均はそれぞれ32.9%、10.4%、-11.6%と、過去10年間における最低水準となっています。
売上高総利益率は、数値が高いほど利益の源泉となる付加価値の割合が高いと評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均-3.0%、全体平均10.4%、上位層平均22.8%と、業界内の採算性の良否がはっきりと分かれている様子が窺えます。
総資本利益率は、数値が高いほど総資本を効率良く運用して、利益を獲得できていると評価できます。2017年の斯業界における当該指標は、下位層平均-1.3%、全体平均1.0%、上位層平均4.0%、最上位層平均6.2%となっており、全体的に収益効率がやや低い様子が表れています。