中国における日系物流業の市場動向(2024年調べ)

更新日:2024年12月19日

2023年、中国の港湾貨物取扱量は170億トン(前年比+8.2%)に達し、そのうち輸出入貨物取扱量は50億トン(同+9.5%)を記録した。世界最大の物流市場を誇る中国の物流業界に進出する日系企業にはどのような特徴があるのか。今回は、中国に進出している物流業界における日系企業について調査した。

「運送代理業」の企業数が最多

中国進出日系企業のうち、「運輸・倉庫・郵便業」に分類される企業は合計1,016社(日系企業全体割合3.6%)である。その企業数を細分類業種別に集計したところ、「複合一貫輸送・運送代理業」(社数466社、45.9%)が最も多く、2位が「倉庫業」(同292社、28.7%)、3位が「道路運送業」(同164社、16.1%)となった。(図1)


「複合一貫輸送・運送代理業」(社数466社、45.9%)を更に細分類でみると、428社とほとんどは「運送代理業」に所属している。中国日系物流業界において、運送代理業務に従事している企業数が最多であることが分かる。運送代理業者は、荷主から貨物を預かり国際輸送に係わる手配を一貫して行う事業者である。

図1 中国日系物流業界の細分類業種分布

※業種は中国産業分類基準(GB/T 4754—2017)に基づく。

企業数最多は「日本通運株式会社」

日系の物流業に対して、日本親会社と紐づけた企業数をもとにランキングを作成した。(表1)
1位の「日本通運」は中国において45社の物流企業を擁し、設立した企業は主に広東省、上海市と江蘇省に分布している。続いて、「伊藤忠ロジスティクス」(社数34社)は主に江蘇省と上海市に、「山九」(同33社)は主に江蘇省、広東省、上海市に企業を設立している。

表1 中国日系物流業界の親会社別企業数ランキング 1位~10位

順位日本企業グループ内物流企業数上位分布地域(社数)日本企業売上高(百万円)
1日本通運株式会社45広東省(7)、上海市(7)1,359,372(22/12期)
2日本郵船株式会社34上海市(11)、江蘇省(4)1,024,291(24/03期)
2伊藤忠ロジスティクス株式会社34江蘇省(9)、上海市(5)62,611(23/03期)
4山九株式会社33江蘇省(8)、広東省(4)、上海市(4)394,365(24/03期)
5株式会社OCS32広東省(9)、江蘇省(7)15,068(22/03期)
6株式会社近鉄エクスプレス28江蘇省(9)、上海市(5)248,879(23/03期)
7ロジスティード株式会社27広東省(8)、上海市(6)46,864(23/03期)
8株式会社商船三井21上海市(5)、浙江省(3)839,607(24/03期)
9株式会社日新18江蘇省(6)、上海市(4)92,526(24/03期)
9株式会社アルプス物流18江蘇省(4)、上海市(3)53,735(24/03期)

※日本企業売上高については最新情報を取得し紐づけ。
※企業数が同数の場合は、同順として掲載。
※同順の企業は、売上高順に掲載。

企業数は1981年以来増加推移

続いて、中国日系物流企業の設立時期について調査をした。(図2)
1981年から中国に進出して以来、全体的に上昇傾向にあり、特に2000年以降に急激な増加を見せた。しかし、近年では増加傾向を維持しつつも、2011年からは成長率がやや鈍化してきている。

図2 中国日系物流業界の社数年次推移

「上海市」中心に拠点を配置

中国日系物流業界の地域分布について調査をしたところ、「上海市」(社数381社、37.5%)に最も多くの企業が分布し、以下、「広東省」(同134社、13.2%)、「江蘇省」(同130社、12.8%)と続いて、全体の6割以上を占めている。(表2)
全体的な分布を見渡すと、日系物流業者は中国の東部沿岸地域に集中している。(図3)国際物流を主軸とする日系物流業者には、世界、特に日本と直結する交通インフラの利便性は欠かせない。特に注目すべきは、上海港(上海市)、広州港(広東省)、深セン港(広東省)、蘇州港(江蘇省)、青島港(山東省)、天津港(天津市)、大連港(遼寧省)といった大型港湾の存在である。これらの港湾は中国においても貨物取扱量が上位になっており、効率的な物流を実現するためには絶好の拠点となる。

表2 中国日系物流業界 地域別社数ランキング 1位~10位

順位地域企業数(シェア)
1上海市381(37.5%)
2広東省134(13.2%)
3江蘇省130(12.8%)
4山東省67(6.6%)
4天津市67(6.6%)
6遼寧省57(5.6%)
7浙江省45(4.4%)
8北京市27(2.7%)
9福建省24(2.4%)
10湖北省21(2.1%)

図3 中国日系物流業界企業の地域分布

まとめ

近年、人口減少や経済成長率の停滞により、中国国内の需要拡大が鈍化する中、多くの中国企業が国外市場への進出を急いでいる。

その結果、2023年の中国の港湾貨物取扱量は170億トン(前年比+8.2%)に達した。そのうち輸出入貨物取扱量は50億トン(同+9.5%)を占め、国外との交易は拡大している。この傾向は、海外市場の物流に関する豊富な経験やネットワークを持つ日系物流業者にとって、中国企業の海外展開を支援する新たなビジネスチャンスとなる可能性がある。

2023年の日中貿易総額は3,180億米ドル(前年比-10.4%)と、過去最高だった2021年から2年連続で減少しているが、今後、新たな収益事業を見出すことで、中国市場でのさらなる事業拡大も期待できるのではないか。

[実施概要]

・調査名称 :中国における物流業界の市場動向
・調査方法 :中国における日系企業の法人登記情報に基づく
・調査対象データ更新時期:2023年3月時点で開示されていた法人登記情報
・調査対象企業 : 中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業及びその傘下企業
・調査対象企業数 :1,016社

※「中国日系企業データベース」とは、利墨が独自に収集した、中国全土で登記されている日本企業が出資している中国企業及びその傘下企業と日本の親会社情報を紐づけたデータベースのことを指す。

※ 調査に利用している中国法人登記情報は、2023年3月時点で開示されている情報であるため、企業の申告状況などにより最新の情報と異なる場合があります。

利墨は、中国において、日中両言語のクラウド型のグループウェアやe-learningシステム、中国企業与信管理サービスを提供し、社内情報共有、社員教育と取引先管理を支援し、日系企業を管理面でサポートしております。 

また、2024年6月より、お客様のご要望に応え、新サービス「中国日系企業攻めモン」を提供しております。中国日系企業攻めモンは、中国全土に進出した日系企業のデータを抽出できるサービスです。業務内容・資本金・日本親会社などの抽出条件を選択することで、条件に該当する企業を抽出できます。弊社独自の日系企業DBを利用し、他社では入手できない日系企業の正確な情報を提供いたします。 

中国での業務拡大をお考えの方は、是非ご利用検討ください。

【参考資料】表3  中国日系物流業界の親会社別企業数ランキング 11位~29位

順位日本企業企業数日本企業売上高(百万円)
11三井倉庫ホールディングス株式会社1727,125(24/03期)
12西日本鉄道株式会社16165,773(24/03期)
12株式会社阪急阪神エクスプレス1677,028(23/03期)
12SGホールディングス株式会社1645,008(23/03期)
15川崎汽船株式会社15764,334(24/03期)
16三菱倉庫株式会社14200,601(23/03期)
17日本郵便株式会社122,761,180(23/03期)
18株式会社住友倉庫11108,679(23/03期)
19日新運輸株式会社1018,426(23/02期)
19センコーグループホールディングス株式会社1016,447(24/03期)
21丸全昭和運輸株式会社9111,730(24/03期)
21ニッコンホールディングス株式会社910,863(24/03期)
23株式会社エーアイテイー828,420(24/02期)
23ヤマトホールディングス株式会社847,189(23/03期)
25鈴與株式会社7153,314(23/08期)
26安田倉庫株式会社638,315(24/03期)
26豊田通商株式会社62,062,087(24/03期)
26住商グローバル・ロジスティクス株式会社619,576(23/03期)
26国分グループ本社株式会社61,703,814(22/12期)

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