中国日系企業の業種分布ランキング(2025年調べ)

更新日:2025年06月24日

中国における日系企業の業種分析を行い、動向をみていきます。中国に進出した日系企業の業種分布について、2024年3月に発表した「中国日系企業の業種分布ランキング」(日系企業27,968社中業種情報取得21,215社)で紹介以降、再びその全体像を見直すべく、日系企業の業種分布ランキングを2025年4月時点のデータ(日系企業27,148社)に基づいて再調査した。

TOP3業種は安定、それ以降は上下動

表1に示されているように、日系企業数が多い上位10業種をリストアップした。加えて、前回調査と比較し、順位の変動とシェアの増減も並べた。前回で業種情報未取得の企業が今回では取得できたことや、業種が企業の経営範囲の変更や業種判定ルールの変化によって変わることを考慮し、前回との比較は社数ではなく、日系企業全体におけるシェアで行う。

まず、ランキングのトップ3に変化はなかった。1位は「卸売業」で6,698社(全体の24.7%)、2位は「ビジネスサービス業」3,324社(同12.2%)、3位は「小売業」2,846社(同10.5%)と、いずれも前回と同じ順位を維持している。これら3業種で日系企業全体の約半数を占めていることからも、その存在感の大きさがうかがえる。一方、これら3業種はいずれも▲1.0%程度のシェア減少を記録している。その原因として、2025年3月に発表した「中国における日系企業の休廃業動向」にあるように、休廃業企業数が最も多い3業種でもあることが考えられる。

続いて、4位以下の業種はランキングの変動が大きい。「ソフトウェア・情報技術サービス業」は945社(同3.5%)で3ランクアップの4位に浮上した。「汎用設備製造業」917社(同3.4%)、「飲食業」844社(同3.1%)、「コンピューター・通信・その他電子機器製造業」674社(同2.5%)もそれぞれ1ランクアップして5位、7位、10位に上昇した。逆に、「科学技術普及・応用サービス業」は901社(同3.3%)で6位に後退し、「自動車製造業」は772社(同2.8%)で4ランクダウンの8位に沈んだ。

シェアの変化に注目すると、「コンピューター・通信・その他電子機器製造業」(+0.6%)、「ソフトウェア・情報技術サービス業」(+0.5%)、「飲食業」(+0.4%)の3業種が大きく伸びている。IT・電子分野の伸びは、中国におけるデジタル産業の高度成長を背景に、半導体や通信機器分野での需要増に日系企業が対応していることを示している。日系飲食業は、中国の経済成長や購買力の高まりを背景に、高品質と独自の文化を武器に発展を遂げている。

 「自動車製造業」は▲0.6%とシェアの低下が顕著である。中国市場における日系自動車のシェアは、2023年の14.4%から更に低下し、2024年には11.2%にとどまっている。現地メーカーとの競争やEVシフトへの対応の遅れが、日系自動車メーカーの足元を揺るがしている。

表1 中国に進出した日系企業の業種分布ランキング 1位~10位

順位変動業種今回前回シェア
前回増減
今回前回シェア社数シェア社数
11卸売業24.7%6,69826.0%5,516▲1.3%
22ビジネスサービス業12.2%3,32413.3%2,824▲1.1%
33小売業10.5%2,84611.3%2,405▲0.8%
47ソフトウェア・情報技術サービス業3.5%9453.0%627+0.5%
56汎用設備製造業3.4%9173.2%673+0.2%
65科学技術普及・応用サービス業3.3%9013.3%6940%
78飲食業3.1%8442.7%576+0.4%
84自動車製造業2.8%7723.4%726▲0.6%
99専用設備製造業2.7%7232.6%542+0.1%
1011コンピューター・通信・その他電子機器製造業2.5%6741.9%406+0.6%

※シェア(%)=業種企業数/全体企業数(業種未取得の企業を除く)×100,シェアの前回増減=今回シェアー前回シェア

近年新設企業の業種分布

また、日系企業全体の業種分布に加え、近年新たに設立した日系企業の動向にも注目したい。表2に示されている通り、2023年から2024年に新設された日系企業(2,284社)の業種をランキングにした。最も多かったのは「小売業」で896社(全体の39.2%)と、新設企業全体の3分の1以上を占めている。次いで「卸売業」387社(同17.0%)、「飲食業」327社(同14.3%)と続き、いずれも消費者との接点を持つ業種が上位を占めている。更に、表1の業種ランキングには含まれなかった「専門技術サービス業」と「複合輸送・輸送代理業」がそれぞれ7位と8位にランクインしている。特に目を引くのは、上位8業種すべてがサービス業であり、製造業は9位と10位にとどまっている。表1に比べてサービス業の存在感が拡大し、製造業は相対的に後退していることが分かる。これは、日系企業の中国進出が「モノづくり」から「サービス提供」へと変化していることがうかがえる。

表2 2023~2024年における新設日系企業の業種分布ランキング 1位~10位

順位業種シェア社数
1小売業39.2%896
2卸売業17.0%387
3飲食業14.3%327
4ビジネスサービス業5.3%122
5科学技術普及・応用サービス業5.1%116
6ソフトウェア・情報技術サービス業3.2%74
7専門技術サービス業1.6%37
8複合輸送・輸送代理業1.0%22
9汎用設備製造業1.0%22
10自動車製造業0.7%17

まとめ

サービス業の成長、消費市場の回復、自動車市場の転換といった中国市場のトレンドが、日系企業の業種分布に明確に影響を与えている。従来の主力分野はシェアの縮小という形で競争激化や構造転換の波に直面している。一方で、飲食・専門技術サービス・輸送といった分野が新たな成長の柱として浮上しつつある。日系企業が中国市場での存在感を維持・拡大していくためには、柔軟に変化に対応していく姿勢が不可欠である。

【参考】業種別企業数が多い日系企業

表3 TOP10業種における企業数が多い企業

卸売業
順位日本企業現地法人社数
1株式会社ヤクルト本社109
2日産自動車株式会社74
3三菱電機株式会社57
ビジネスサービス業
順位日本企業現地法人社数
1トヨタ自動車株式会社52
2株式会社日立製作所42
3イオン株式会社39
小売業
順位日本企業現地法人社数
1株式会社ローソン626
2株式会社ファミリーマート296
3株式会社ファーストリテイリング202
ソフトウェア・情報技術サービス業
順位日本企業現地法人社数
1ワンドット株式会社15
2株式会社日立製作所12
2日産自動車株式会社12
汎用設備製造業
順位日本企業現地法人社数
1三菱電機株式会社21
1株式会社日立製作所21
3SMC株式会社16
科学技術普及・応用サービス業
順位日本企業現地法人社数
1ワンドット株式会社48
2日産自動車株式会社17
3積水化学工業株式会社9
飲食業
順位日本企業現地法人社数
1株式会社ゼンショーホールディングス309
2株式会社サイゼリヤ232
3株式会社吉野家ホールディングス108
自動車製造業
順位日本企業現地法人社数
1トヨタ自動車株式会社75
2日産自動車株式会社24
3住友電気工業株式会社20
専用設備製造業
順位日本企業現地法人社数
1森松工業株式会社7
2パンチ工業株式会社5
3株式会社小松製作所4
コンピューター・通信・その他電子機器製造業
順位日本企業現地法人社数
1パナソニックホールディングス株式会社17
2ニデック株式会社10
3古河電気工業株式会社7

[実施概要]

・調査名称 :中国日系企業の業種分布ランキング【第2回】
・調査方法 :中国における日系企業の法人登記情報に基づく
・調査対象データ更新時期:2025年4月時点で開示されていた法人登記情報
・調査対象企業 :中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業及びその傘下企業
・調査対象企業数 :27,148社

※「中国日系企業データベース」とは、利墨が独自に収集した、中国全土で登記されている日本企業が出資している中国企業及びその傘下企業と日本の親会社情報を紐づけたデータベースのことを指す。

※ 調査に利用している中国法人登記情報は、2025年4月時点で開示されている情報であるため、企業の申告状況などにより最新の情報と異なる場合があります。

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