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更新日:2023.10.24
中国の最南端に位置する海南島は、その美しい自然環境と豊かな文化で知られています。この島は、中国の「ハワイ」とも称され、観光地としての魅力が溢れています。都市シリーズ第五弾として、今回も数字を用いてご紹介いたしまします。
海南島は中国本土から南に約20キロメートルの海上に位置しております。島の気候は熱帯で、年間を通じて温暖な気候が続きます。1949年に中華人民共和国が成立すると、海南島は広東省の一部とされました。1988年には海南省が設立され、海南島はその一部となりました。その後、海南島は中国の重要な観光地となり、経済特区として発展しました。
海南島の人口は着実に増加しており、2013年から2022年までの間に約10%増加しました。具体的には、2013年には895.28万人だった人口が、2022年には1027.02万人にまで増加しました。この増加率は、中国全体の人口増加率(約5%)を大きく上回っております。
この人口増加は、海南島が自由貿易港としての地位を確立し、多くの企業が進出するようになったこと、そしてそれに伴い多くの人々が仕事や生活の場を求めて海南島に移住してきたことによるものと考えられます。
海南島は中国最大の島で、面積は約34,000平方キロメートルに及びます。これは台湾島の約3分の2の大きさであり、日本の九州よりもやや小さい規模です。海南島の北部には海南省の省都である海口市があり、海南省の政治、経済、文化の中心地となっています。一方、海南島の南端には三亜市が位置しており、中国でも有数のリゾート地として知られています。美しいビーチや豪華なホテル、ゴルフコースなどが点在し、国内外から多くの観光客が訪れます。
海南島の成長率は10年前と比較して急速に発展しております。海南GDPは2012年2,855億元なのに対し、2022年は6,818億元と239%の成長率となっております。1次産業、2次産業も発展しておりますが、特に急成長したのが、観光業を主とした3次産業となります。この10年間で成長率305%の目覚ましい発展を遂げています。
海南島は2025年までに、貿易の自由化と投資円滑化に焦点を当てた自由貿易港湾政策システムを中国で初めて確立する計画がされています。中国政府は香港のような開かれた経済区域の構築を海南島で予定しています。計画されている内容としては下記のとおりです。
(1)島全体が自由貿易港
海南島全体が自由貿易地域に分類されており、入荷及び出荷される物品に関して島内で制限されることなく輸送が可能となります。また、物品の保管期間はなく、保管場所も海南島内で自由に選択する事が可能となります。
(2)関税ゼロ
海南自由貿易港は「関税ゼロ」を基本とした自由化と円滑化の制度取り決めが実施されます。さらに、「関税ゼロ」の対象となる商品は通常の税関監督が免除されます。
(3)税制の簡素化
現行の税制にて手続きが簡素化されます。具体的には付加価値税、消費税、自動車取得税、都市維持建設税、教育賦課金などの税金が法律に基づいて手続きが簡素化されます。
また、諸外国の自由貿易港の税制との大きな違いは増値税が低いことです。
(4)法人税と個人所得税率を15%に引き下げ
2025年までに海南自由貿易港に登録され、実質的に事業を行っている奨励産業の企業には法人税が15%に引き下げられます。また、海南自由貿易港で働くハイエンド人材は実際の個人所得税負担の15%を超える部分が免除されます。
例えばシンガポールの法人所得税率は17%、個人所得税率は最高22%のため、シンガポールよりも優遇された施策となっております。
参照:海南自貿港12大亮點:稅率比肩香港新加坡 全島零關稅成購物天堂
海南自由貿易港建設全体計画により、今後海南島はさらなる経済成長を遂げる可能性があります。しかし、近年中国本土の経営不安がささやかれており、海南島での貿易自由化もどの程度解放されるのかまだまだ未知数です。今後も中国の動向をチェックし、先を見据えて行動することを意識していきたいと思います。
執筆者:利墨(上海)商务信息咨询有限公司 高名 宏明
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