中国に進出した日系企業の特許保有数ランキング(2026年調べ)

更新日:2026年01月20日

 特許の保有件数は企業の技術力や開発能力、成長性を示す重要な指標となる。中国市場における競争が激化する中、日系企業がどのように知財を武器に戦っていくのか。2024年5月に発表した「中国日系企業の特許保有数ランキング」において、中国の特許制度の概要、および中国日系企業の特許保有数ランキングについて紹介した。それから1年以上が経ち、今回はどのような変化があったのかを改めて見てみる。

 調査の結果、中国日系企業全体の9.8%にあたる2,670社が有効な特許(「発明公開、実質審査、特許付与」段階にある発明、実用新案、外観設計)を保有し、前回の2,786社(10.0%、※1)からやや減少していることが分かった。

自動車製造業の特許数が最多

 まず、中国日系企業の特許数を業種別に集計した。(表1)

 首位は今回も変わらず「自動車製造業」である。特許件数は12,733件と依然として圧倒的だが、前回の14,700件からは約2,000件の減少と勢いの鈍化が目立つ。2位の「汎用設備製造業」は10,039件、3位の「電気機械器具製造業」は7,488件、4位の「専用設備製造業」は5,368件と、製造業が上位を占めるが、いずれも前回比で減少し、やや勢いに陰りが見える。

 一方で、伸長する分野として、「研究・試験開発」は前回7位から5位へと順位を上げ、特許件数も3,331件に増加し、「化学原料・化学製品製造業」と「ゴム・プラスチック製品業」も着実に増加している。

表1 中国日系企業の業種別特許数ランキング 1~10位

※1 前回特許件数や順位は、一部データ欠損を補い、今回基準に合わせて日本企業支配の日系企業に絞って再集計している。

「パナソニックホールディングス」が1位

 次に、日本親会社別に中国現地法人の特許件数を集計し、上位10社を紹介する。(表2)

 「パナソニックホールディングス」は、1,000件前後の減少があったものの、特許件数4,665件で首位を維持した。2位の「日産自動車」も1,755件と大幅に減少しながら順位を守っている。「本田技研工業」は前回4位から3位へと浮上し、特許件数は3,429件と微減である。「トヨタ自動車」は5位ながら、前回より増加し、技術開発が進んでいることがうかがえる。

 一方で、前回ではTOP10にランクインした「東レ」と「日本酸素」(中国で「サーモス」事業などを運営)は今回入らず、代わりに「日本ペイント」と「ダイキン工業」がランクインした。

表2 中国日系企業の特許数ランキング 1~10位

特許増加数ランキング

 更に、今回と前回調査で特許数を取得できた現地法人を対象に比較を行い、特許増加数ランキングを作成した。(表3)

 最も特許件数を増やしたのは、「日産自動車」の現地法人「東風日産乗用車」、前回から203件増の776件となった。また、同社は3位「深セン聯友科技」と10位「聯友智連科技」にもランクインし、上位10位に3拠点が入るという圧倒的な存在感を示している。2位には「トヨタ自動車」の「広汽豊田汽車」、166件の増加を記録した。4位には「本田技研工業」の「広汽本田汽車研究開発」がランクインし、126件の増加を記録した。日産・トヨタ・ホンダという日系自動車大手3社が特許増加数上位を占め、研究開発投資が依然活発であることを示している。5位から7位には「SMC」の拠点が3社連続で登場し、それぞれ40件以上の特許を増加させている。中国で半導体・半導体製造装置、医療関連設備の国産化が進む中、「SMC」は中国市場で業績を伸ばしていることが特許増加につながっていると考えられる。 

表3 中国日系現地法人の特許増加数ランキング 1~10位

特許減少数ランキング

 同様に、特許減少数ランキングも作成した。(表4)

 最も大きな減少幅を記録したのは、「東レ」の「東麗繊維研究所(中国)」、前回の1,223件から今回の243件へと980件の大幅減となった。続く2位から5位には、「日産自動車」の現地法人が3社ランクインし、特に「鄭州日産汽車」は788件、「東風汽車」は735件の減少と、顕著な落ち込みを見せている。「日立製作所」の現地法人も、4位と10位に登場し、「日立電梯(中国)」は436件の減少、「日立楼宇技術(広州)」も177件減となった。「パナソニック」も2拠点がランクインしており、「松下電気机器(北京)」は222件の減少、「杭州松下家用電器」も216件減と、いずれも2割以上の落ち込みを見せている。

 同一グループ内で増える拠点と減る拠点が混在している点から、拠点ごとの役割再定義や特許ポートフォリオの整理が進んでいる可能性が高い。

表4 中国日系現地法人の特許減少数ランキング 1~10位

まとめ

 今回は、特許の保有件数をもとに、中国市場における競争環境の変化に応じて、日系企業がどのように技術資産を再編していくのかを示した。全体としては、製造業を中心とした特許保有は依然として大きいが、全体数はやや減少している。特に、中国市場における自動車産業の競争が、知財の分野でも熾烈であり、古い特許を整理しつつ新しい技術を積極的に取得する「入れ替わり」の局面が進行していることがうかがえる。特許件数は、企業の技術力や成長性を示す重要な指標である一方、維持するのにコストも伴うため、「量」だけではなく「質」も重要である。中国日系企業は、競争が激しい中国市場で戦うには、どの技術に資源を集中し、どの拠点に研究開発を集約するかなど、特許の「整理・集約」、拠点ごとの役割再定義、コスト最適化と現地戦略の転換が求められる。

[実施概要]
・調査名称 : 中国日系企業の特許保有数ランキング(2026年調べ)
・調査方法 : 中国における日系企業の法人登記情報に基づく
・調査対象データ更新時期 : 2025年4月時点で開示されていた法人登記情報と2025年5月時点の特許情報
・調査対象企業 : 中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業及びその傘下企業
・調査対象企業数 : 27,148社

※「中国日系企業データベース」とは、利墨が独自に収集した、中国全土で登記されている日本企業が出資している中国企業及びその傘下企業と日本の親会社情報を紐づけたデータベースのことを指す。
調査に利用している中国法人登記情報は、2025年4月時点で開示されている情報であるため、企業の申告状況などにより最新の情報と異なる場合があります。

 利墨は、中国において、日中両言語のクラウド型のグループウェア、e-learning、与信管理サービスを提供し、社内情報共有、社員教育と取引先管理など日系企業をの管理業務を支援しております。

 また、2024年6月より提供開始した「中国日系企業攻めモン」は、中国全土に進出した日系企業のデータを抽出できるサービスで、業務内容・資本金・日本親会社などの抽出条件を指定して日系企業の正確な情報を取得できます。

 中国での業務拡大をお考えの方は、是非ご利用検討ください。

【参考資料】

表5 中国日系企業の特許数ランキング 11~30位

資料請求 セミナー一覧