中国における日系物流業の市場動向(2026年調べ)

更新日:2026年03月12日

2024年、中国の社会物流総額は初めて360兆元を超え、物流業総収入も13.8兆元に達した。中国の物流市場規模は9年連続で世界最大となっており、引き続き巨大市場としての存在感を示している。

一方で、物流業界は人件費の上昇、価格競争の激化、顧客要求の高度化により、過当競争を背景とした再編局面に突入している。またに、スマート物流インフラの普及、政策主導によるグリーン転換、越境ECの拡大や産業クラスターの台頭により、物流ニーズの多様化が進み、競争ルールそのものが再構築されつつある。

本調査は、2024年12月に発表した「中国における日系物流業の市場動向(2024年調べ) – 利墨上海」(以下「前回調査」)を踏まえ、2025年4月時点の法人登記情報を用いて、中国に進出する日系物流業企業の分布・構造変化など動向を整理した。なお、前回調査時点では業種情報未取得の企業が一部存在し集計の対象外となったが、今回で新たに取得した業種情報を前回データに紐づけて再集計を実施した。

企業数動向

弊社が独自に収集した、「中国日系企業データベース」に基づく調査によると、中国に進出している日系物流業企業は1072社で、日系企業全体(27,148社)の3.9%を占める。前回調査(1064社、3.8%)と比べると、企業数・シェアともにわずかに増加した。

細分類業種動向

日系物流業において、全体の業種構成は前回調査と大きな変化は見られないものの、細分類のシェアに少し変化がある。細分類業種別に集計すると(図1)、「複合一貫運送・運送代理業」が504社(47.0%)で最大となり、前回調査(45.6%)から1.4ポイント上昇した。一方、2位の「倉庫業」は301社(28.1%)で、前回調査(29.4%)から1.3ポイント低下した。倉庫業は物流効率化や大型プレイヤーによる集約が進みやすく、単独での拠点維持よりも、代理・統合型サービスへ重心が移行している可能性がある。また、「道路運送業」は172社(16.0%)と第3位を維持しており、中国国内物流における道路輸送の重要性が引き続き高いことと考えられる。

図1 中国日系物流業界の細分類業種分布
※業種は中国産業分類基準(GB/T 4754—2017)に基づく。

日本親会社別動向

日本親会社別の現地法人社数ランキング(表1)では、「日本通運」は1位維持ながら47社から43社に減少した。2位は「伊藤忠商事」(36社)、3位は「日本郵船」(33社)となった。上位企業は上海市・江蘇省・広東省など、インフラが整備された沿岸部の主要地域に集中している。


一方で、特筆すべき動きとして、「阪急阪神ホールディングス」が16社から26社へと大幅に増加し、順位も14位から6位へ急上昇した。沿岸都市に加え、成都・瀋陽など内陸都市にも支社設立を進めており、拠点ネットワークを戦略的に拡充していることがうかがえる。これは、競争力強化を目的に全国規模でのサービス提供を志向する企業が一定数存在することを示す動きといえる。

表1 中国日系物流業界の親会社別企業数ランキング 1位~10位

地域別動向

中国日系物流企業の地域別分布(図2)について、依然として東部沿岸地域や大型港湾地域に集中している。上海や深センなどの国際港湾は対外貿易取扱量が多く、経済特区としての制度優位性もあるため、日系企業にとって安定したビジネス環境が整っている。

図2 中国日系物流業界の地域分布

上位10地域の構成(表2)も、前回調査に比べ大きな順位変動は見られないものの、上海市は383社(35.7%)で最大拠点であるが、前回調査より19社減少している。人件費や事業コストの上昇により、「上海一極集中」からの脱却が進んでいると考えられる。

一方で、広東省は151社(14.1%)と大きく増加し、前回から15社増(+11.0%)となった。2025年広東省の輸出入総額は9兆4900億元(前年比+4.4%)と過去最高を更新しており、とりわけ深センでは越境EC関連企業が15万社を超え全国首位となるなど、外貿関連ビジネスが一段と活発化している。こうした外貿・越境EC需要の拡大に加え、粤港澳大湾区の経済統合と物流インフラ整備が、日系物流企業の進出を後押ししたとみられる。

表2 中国物流業 地域社数ランキング1位〜10位

新設企業動向

過去10年間の設立推移を見ると(図3)、2015~2018年に年間平均33社と高水準だったが、2019年に減少し、2020年には新型コロナウィルスの影響で20社まで急落した。、2021年以降は回復傾向にあるものの、依然として20社台にとどまっている。中国本土企業の台頭、価格競争の激化、コスト優位性の低下により、日系企業が慎重な投資姿勢を取っていることがうかがえる。

図3 中国日系物流業 直近10年新設社数推移

まとめ

2025年の中国物流市場は、規模拡大と構造転換が同時に進む転換点にある。中国における社会物流総額が368.2兆元(同期比+5.1%)に達した。社会物流総額は引き続き拡大し、量的成長基盤は盤石である一方、物流業界内部では過当競争が深刻化し、利益と再編圧力が強まっている。こうした環境下で日系企業は、リーン管理、精密機器輸送、低温物流といった強みを維持しつつ、中国市場が求めるスマート化・デジタル化・グリーン化への対応を加速する必要がある。

また、今後は「日本品質」と「中国スピード」をどのように融合し、競争優位を維持するかが重要となる。単なる輸送・倉庫機能にとどまらず、サプライチェーン全体を最適化する付加価値型サービスへの転換が、日系企業の成否を分ける鍵となるだろう。

[実施概要]

・調査名称:中国における日系物流業の市場動向(2026年調べ)
・調査方法:中国における日系企業の法人登記情報に基づく
・調査対象データ更新時期:2025年4月時点で開示されていた法人登記情報
・調査対象企業:中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業及びその傘下企業
・調査対象企業数:27,148社

※「中国日系企業データベース」とは、利墨が独自に収集した、中国全土で登記されている日本企業が出資している中国企業及びその傘下企業と日本の親会社情報を紐づけたデータベースのことを指す。
※ 調査に利用している中国法人登記情報は、2025年4月時点で開示されている情報であるため、企業の申告状況などにより最新の情報と異なる場合があります。

利墨は、中国において、日中両言語のクラウド型のグループウェアやe-learningシステム、中国企業与信管理サービスを提供し、社内情報共有、社員教育と取引先管理を支援し、日系企業を管理面でサポートしております。

また、2024年6月より、お客様のご要望に応え、新サービス「中国日系企業攻めモン」を提供しております。中国日系企業攻めモンは、中国全土に進出した日系企業のデータを抽出できるサービスです。業務内容・資本金・日本親会社などの抽出条件を選択することで、条件に該当する企業を抽出できます。弊社独自の日系企業DBを利用し、他社では入手できない日系企業の正確な情報を提供いたします。

中国での業務拡大をお考えの方は、是非ご利用検討ください。

【参考資料】

表3  中国日系物流業界の親会社別企業数ランキング 11位~31位

資料請求 セミナー一覧