平日:9:00~17:30(土日祝除く)
更新日:2026.07.23
今回は以前、業界分析で取り上げました卸売・小売業について与信管理のポイントや近年の業界動向について触れていきたいと思います。
卸売・小売業における与信管理のポイントとして、以下の点が挙げられます。
卸売・小売業の企業にとって、長期的な仕入契約の締結や安定した販路の構築により、商品を安定供給できるか否かが事業継続の鍵となります。特に、電子商取引の急速な発展に伴い、オンライン販売ルートの構築は、斯業種の企業にとって重要な取り組みであり、業界競争における成功の鍵となっています。また、卸売業については、仕入先・販売先の両方から価格交渉を受け、収益が圧迫されやすいです。斯業種との取引に際しては、取引先における仕入先・販売先に対する取引依存度や同業他社との競合状況、オンライン販路の有無、価格交渉力などを確認し、商流上のリスクを洗い出す必要があります。
卸売・小売業の企業は、繁忙期に合わせて商品の大量仕入を行います。商品が計画通りに販売できない場合は、不良在庫化し資金繰りに負荷がかかる可能性があることから、斯業種との取引に際しては、棚卸資産の回転数を確認し、在庫が不良化していないかを十分に注意することが必要であります。
一般的な卸売業の企業は、業界特有の商慣習により、商品の仕入を全額前払いで行い、商品の販売を掛取引で行うため、仕入先、販売先の両者に与信が発生します。仕入先からの商品供給や販売先からの売掛債権回収が滞った場合、卸売業は事業継続が困難となります。卸売業との取引に際しては、取引相手の財務体力だけでなく、仕入先の商品供給能力や販売先の支払能力も確認する必要があります。
一般的な卸売業の企業は、商品を前払いで仕入れ、掛取引で販売していることから、多額の運転資金が必要になります。運転資金を自己資金で賄えない場合は、外部資金の調達が求められるため、卸売業との取引に際しては、借入金依存度や借入返済能力、支払利息状況、金融機関や株主の支援姿勢などから資金調達能力を確認する必要があります。
2023年におけるオンライン小売の売上高は、15兆4,264億元(前年比+11.0%)に達し、一般消費財小売業の売上高に占める割合は過去最高の32.7%を記録しました。その中でも、食品(同+11.2%)、日用品(同+7.1%)、衣服類(同+10.8%)の分野で成長を続けています。また、新たな販売手段として注目を集める「ライブコマース」は一層影響力を拡大し、2023年のライブコマースの売上高は4兆9,000億元(同+40.5%)に達しました。EC小売市場は引き続き成長しており、消費を促進する重要な手段となっています。
即時小売は、消費者がオンラインで商品を注文し、オフラインの実店舗が第三者や自社の物流を通じて、短時間で商品を配達する販売方式です。取扱商品には、食品飲料、野菜・果物などの生鮮品、家電、電子機器、美容品などが含まれ、配達時間は通常30分〜60分です。2023年の即時小売市場規模は6,500億元(前年比+28.9%)に達しました。この方式は、オンラインプラットフォームとオフライン小売業者を結びつけ、消費者に便利な購買体験を提供するとともに、実店舗の活性化にも寄与します。即時小売は、さらなる成長が期待される分野です。
消費者信頼感指数は、0から200のスケールで消費者の信頼度を測定する指標で、200は極端な楽観、0は極端な悲観、100は中立を示す。2024年9月の中国の消費者信頼感指数は85.7でした。この数値は2022年4月以降、100を下回っており、消費者の信頼感が低迷していることを示しています。また、2023年の消費者物価指数(CPI)は前年比+0.2%の低水準にとどまり、2024年9月の全国都市部の調査失業率は5.1%(前年比+0.1ポイント)と厳しい雇用環境が続いています。個人消費の成長は依然として力強さを欠く見通しです。
電子商取引の普及により業績が伸び悩む卸売・小売業者は、「即時小売」などオンラインとオフラインの融合が進む中で、新たな成長機会を迎えることが期待されています。
斯業種の企業は、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、人工知能などの技術発展に伴い、これらの分野への投資を増加させ、運営効率やサービス品質の向上、原価削減を目指しています。
また、「カーボンピークアウト・カーボンニュートラル」政策の実施と「グリーン経済」の推進により、企業は環境保護と持続可能な発展に注力し、環境に配慮した調達・物流を取り入れたサプライチェーンの構築を進めることが求められています。